必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか(ダニエル・ピンク)

経済発展に伴い、人々の生活は変化してきました。今日のご飯のために働く、から、自分の力で社会を良くするために働く、というスタイルに変化しつつあります。

それに伴い、モチベーションの根源も変わってきています。ダニエル・ピンクさんの本を読むと、多数の事例とともにそれが理解できます。上司や同僚、お客さん、そして自分が、どのモチベーションで、どのように動いているのかを考える上でとても勉強になりました。

マネジメント職の方、営業職の方に特におすすめです。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)

 

抜粋と考察

モチベーション3.0について説明する前に、その前段階であるモチベーション1.0と2.0について説明されています。

モチベーション1.0とは、人間が持つ最も原始的なやる気のことである。モチベーション1.0による動機付けは「生理的動機付け」という名前で呼ばれており「生きるため、社会や組織を継続させるために頑張ろう」という動機付けである。たとえば、「お腹が空いたからご飯を探しに行こう」というものや「子孫を残すために子供を作ろう」というやる気がこれに当たる。

モチベーション2.0とは、アメとムチによって生まれるやる気である。「外発的動機付け」という名前で呼ばれていて「外からの刺激によって対象者を頑張らせる動機付け」となる。例えば、「高いインセンティブがあるから頑張ろう」というものや「社長に命令されたから頑張ろう」というやる気がこれに当たる。

 

それに対してモチベーション3.0は内発的動機づけと呼ばれています。

モチベーション3.0は、変化の激しいこれからの時代を生き抜くため、柔軟で強い組織を作り上げるために必要なモチベーションである。これを「内発的動機付け」と呼び、「自分の内側から湧き出るような動機付け」を指す。

モチベーション3.0には3つの特徴があり、「自主性」「成長」「目的」である。これを満たす場合に、モチベーション3.0が人々の中に沸き起こる。

 

アブラハム・マズローの5段階の欲求と似ていると感じました。生きるのに困っている人は、モチベーション1.0が機能します。その次の段階は「あれに向かって頑張ろう」となります。カラーテレビを買うために辛い仕事を耐えよう!みたいなモチベーションが2.0です。

それに対して、「食べていくためだけではなく、自分の人生を生きるためになにかしたい」というのがモチベーション3.0と言えると思います。近年の転職理由で、「その会社の意義に共感した」という理由が多い気がするのも、そういう時代になってきたということなのだと思います。

また、人の生産性を高める方法も、モチベーション1.0 ~ 3.0で異なります。モチベーション3.0の人に金銭等の人参をぶら下げるのは逆効果。これは他の心理学の実験からも明らかで、外的報酬があると内発的動機が弱まってしまうからと言えます。 

ルーチン作業には事前報酬を、創造的仕事には後追い報酬を与えるべき。報酬について伝えるのも終わった後にすべき。

 

モチベーション3.0を高めながら成果を引き出す方法として、20%ルールが紹介されています。3Mで始まり、Googleで有名になった20%ルールは、勤務時間の20%(週1日も!)を自分の好きなことに当てて良いというルールです。

もちろん、カルチャーが共有されていれば、全く事業に関係ないことを行う人はおらず、20%ルールの成果から新しいビジネスが生まれる事例もあります。かの有名なGmailもその成果らしいです。

そして、給料の金額自体は(ある程度を超えれば)関係がなくなる、と書かれています。

給料は衛生要因と言われる。一定以上の収入を得ていれば、金銭は意思決定にそれほど影響しない。それよりも、達成感や自分の自由の確保のほうが重要である。

実際、ある会社ではROWE (Result only work environment)を導入し、完全に自由に働いてもらったところ、社員が他社から高い給与を提示されても移らなくなった。

 

同時に、マネジメントによる社員の管理方法も変わってきます。部下をマイクロマネジメントする、ではなく、部下に自律的に意思決定をしてもらう方向に進むべきです。ただし、自律、は勝手にやる、とは違います。

「自律的」は、独立とは異なり、選択して行動するということ。マネジメントにおいても自律的な管理を促すことが部下の高い満足度に通じる。

ホールフーズでは、社員を採用する際、責任者が決めるのではなく、一緒に働く従業員が決める。30日間の試用期間の後に、将来同僚になるかもしれない従業員たちが、その候補者を採用するかどうか投票するのだ。

W・L・ゴアでは、昇進してチームを率いたいと望むものは誰でも、自分と働きたいという仲間を集めなくてはならない。

 

生きがいとして働く、という人はこれからの社会でどんどん増えてくると思います。優秀な人を引きつけるためにも、モチベーション3.0を意識した会社の制度設計、カルチャーづくりをしていくべきですね。