必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

人を伸ばす力(エドワード・L・デシ)

何かをやろう!と思ったとき、そのやる気は自らの意思による内発的なものですか?それとも報酬目的の外発的なものですか?

 

ものによって様々だと思いますが、内発的動機づけの素晴らしさを説明している本です。学者さんが書いた本はやはり内容がとても濃く、勉強になります。

 

マネジメント層に限らず、他人と仕事をする方、子供を持つ方、皆様におすすめです。

 

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

まとめ

自らを内発的動機づけで動機づけ、自律的に何かを行うほうが、優れた成果をもたらす
行動が自律的でないという事は他者に統制されているということだ。統制された行動には2つのタイプがある。
一つは服従で、権威者の考えが実現されるように従う行動である。言い換えれば、服従とはそうしろと言われたから言われたことをすることである。
もう一つの反応は反抗である。これは期待されている事とは反対のことをその期待ゆえにするということである。
どちらも、自らがやりたいようにやるのではなく、そう期待されているとおりに振る舞っており、統制されていると言える
 
実験の結果、外から動機づけされるよりも、自分で自分を動機づける方が、創造性、責任感、健康な行動、変化の持続性といった点で優れていた。そのため、医者や教師のように上位にいる人たちは、患者や学生などの下位にいる人たちに対して、「どのように動機づけるか」ではなく、「どのように自らを動機づける条件を見いだせるか」と問わなければならない。
 
では、自律性はどう高めるのか?
自律性を高めるためには、統制するような言葉を使わない。「絵の具を巻き散らかして遊ぶのがわかるんだけど、ここは他の友達も使うから、道具や部屋をきれいに使って下さい」のように。
逆に統制を強める言い方には、「お願いだから、道具はきちんと使ってね」「規則をきちんと守りなさい。絵の具を撒き散らしてはいけません」などが当てはまる。
 
子供にこの言い方を両方試したときの効果は明白で、僅かな言い回しの差にも関わらず、前者の言い方だと子供はよりやる気を持って、かつ綺麗に遊んだが、後者の言い方では、遊ぶやる気を失わせてしまったのである。
 
 
なお、大人の自らの自律性が高くない場合は、子供に対しても自律性を高めることは難しい。
  • 管理職から、クラスの点数を上げるのがあなたの責任です、と言われた先生は、生徒にもその統制を押し付ける傾向にある。そして、悪い結果になることが多い。
しかし、自律=自由、とならないように注意も必要
自律性を促進しようとするとき、どこまでが自分の権利で、どこまでが他人の権利か、の理解を促すことが重要である。許容範囲の設定は権利と社会的制約を伝える方法であり人々が責任を持って選択することを学ぶ助けとなる
  • そうでないと自律性=自由と履き違えてしまう可能性が高い
  • 許容範囲の設定の際は、制限の理由をきちんと伝えることが重要。そうでないと統制になる。
  • 許容範囲を超えた場合の罰則や報酬を「規則」として決めておくことができるが、それは容易に変更しない、継続させるものとすることが重要である。そうでないと信用を失うことになる。
 
人は一旦報酬を受け取り始め、外発的動機づけをされると、その活動自体に対する興味を失う
人は一旦報酬を受け取り始めると、その活動自体に対する興味を失う。そして報酬が打ち切られると、もはやその活動をしたいと思わなくなるのである。
 
あるユダヤ人の寓話の例が面白い。
ある街の男たちが、新しく店を開いたユダヤ人を追い出そうと躍起になっていた。そして不良たちを送り込み、彼らは店の前で大声で野次をとばしたり、罵った。そのユダヤ人は、不良たちがやってきたある日、野次を飛ばす努力に対して全員に10セントずつ手渡した。それで彼らはますます喜び、叫び続けた。次の日も彼らはやってきた。しかし今度は5セントしかあげる余裕がないとユダヤ人は告げ、全員に手渡した。彼らは少しがっかりしたが、5セントでももらえる事は嬉しいので、また叫んで帰っていった。次の日、また彼らがやってきた。今度は1セントしかあげられないとユダヤ人は言って、コインを渡そうとした。それを聞いて不良たちは憤慨し、「たった1セントのために野次を飛ばすほど暇じゃないんだ」と言い、去っていった。こうしてユダヤ人は不良たちを追い払うことに成功したのである。
 
 
教育における「テスト」は外発的動機づけになってしまい、学ぶということに対しての集中度が損なわれる。同時に、定着性も悪化する。
  • 実験として、学習するグループ2つにそれぞれの条件を設けた。半数には学習の結果をテストしますと伝えた。残りの半数には後でこの内容を他の人に教えてもらいますのでそのつもりで。と伝えた
  • 実際に学習の効果を見ると後者の方が理解度が高く、テストをしてもその結果は歴然であった。さらに1週間後に同じ内容テストすると、テストするよと言われたグループはほとんど内容を忘れてしまっていた。
 
テストを行う場合にも、成績をつけると言ってからテストを行う場合は上記のことが起きるが、テストをするが、それは理解度チェックのためであり、成績には使わないよ、と言うと、テストをやらないと言った場合と同じようなモチベーションアップが見られた。
 
内発的動機づけを高めるために
内発的動機付けを向上させるためには、些細な事でもいいので選択のチャンスを与えることが重要である
  • 学校において、カリキュラムが決まっている場合でも、その学び方を、反転学習をしたい?普通に授業を聞きたい?パートごとにグループで調べ、発表し合いたい?といくつかの選択肢を提示するだけで、生徒の内発的動機づけ・自律性は大きく変わる。
  • 仕事のやりかたの細かいところは、本人に決めさせたほうが、内発的動機づけは高まる。たとえコピーのとり方だとしても。
  • 研修に参加したいかどうか、など
 
以上です。ありがとうございました!