必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

ブレンディッドラーニングの衝撃(マイケル・B・ホーン)

学校での学習体験は、どうなれば良いものになるでしょうか?その一つの答えが、従来学習とアダプティブラーニングのハイブリット、ブレンディッドラーニングです。
 
主にアメリカにおける様々なブレンディッドラーニングの事例が書かれている本です。加えて、それを実践する際にどのように進めるかについても記載がありわかりやすいです。
ちなみに、事例は下記の動画でわかりやすく紹介されています。

ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命

 
ブレンディッドラーニングとは一言で言えば、従来の対面講義式授業にオンライン学習を組み込んだ学習法です。
単純になにかのアプリを導入しました、という次元ではなく、授業のスキームに組み込まれているものを指します。
 
世界を比較すると...
  • ヨーロッパは、モンテッソーリやシュタイナーなど 20世紀初頭に考案された先進的な教育法が各地で根付き、世界で最も教育の自由化が進んでいると言われる。
  • また、アメリカでは2010年頃からブレンディッドラーニングが普及し始め、すでに2017年時点で全国の学区の7割近くでオンライン学習が取り入れられている
  • これに対して日本は、もともと欧米では当然であったアクティブラーニングが今更議論され始めていて遅れている印象
 
最近話題になっているAI学習教材「atama+(アタマプラス)」など、新たなテクノロジーの進歩によって、個別学習と習熟度基準学習の併用がしやすくなっています。
 
個別学習と習熟度基準学習を的確に併用できれば、学習者主導学習の基盤になります。
学習者中心の学習の重要な要素は、生徒自身が進捗状況を管理し、当事者意識を持って学習計画を立てるところです。
 
習熟度基準学習と工場型教育制度(従来教育)の違いを明確にする表現として、工場型制度では時間は固定されているが学習内容は流動的で、習熟度基準では時間は流動的であるが学習内容は固定されているというものがあります。
  • 従来の工場型学習は、「子供を選別し、優秀層は官僚に、そうでない層は工場に送り込む」というプロイセンや19世紀のアメリカの考え方に基づいている
 
ブレンデッドラーニングの種類、導入の仕方には様々な種類があり、どれが良いかは学校の文化や設備、生徒や教員によってもばらつきます。

 

 
 
しかし、新しい技術に出会った時、人はなかなか使いこなせません。
蒸気機関が初めて発明された時、基本的な性能では蒸気船は従来の船よりも性能が劣っていた。そこで初めから蒸気機関をメインで使用するのではなく、従来の船が苦手な「風がない時」のために蒸気機関を積んだ船が出現した。
また単純な蒸気船は、川を上る時など従来の船が苦手な部分で威力を発揮した。後に蒸気船の性能が上がっていき、従来の船が蒸気船に全て置き換わった。
 
そのため、オンライン学習も同じで初めから置き換えようとするのではなくうまくパーツとして使うのが良いでしょう。そして徐々に広まっていき、不可逆の動きとなるでしょう。
 
 
いくつかの事例が本や最初に記載した動画でも紹介されています。
サミット・パブリックスクールがブレンディッドラーニングを導入した後の生徒目線で見た8つの重要な体験
  1. 生徒主導
  2. 個人の達成度
  3. 学習データへのアクセスとフィードバック
  4. 学習目標の透明性
  5. 静かに一人で読書をする時間
  6. 意義ある就業体験
  7. メンター体験
  8. 前向きな集団体験

 
 
 
生徒は、「学ぶこと」を「やるべきものだ」と感じれば、おのずと勉強するようになります。学校が生徒の関心事項と完全に一致するように生徒目線から設計されると、生徒は学ぶ動機と意欲を持って登校して来ます。
 
鍵は生徒の感覚で設計すること。その第一段階は解決すべき課題を特定することです。
一般的に生徒の最優先となる2つの課題は、成功を感じ進歩を得ることと、友達と楽しく過ごす事です。教育を受けること自体を目的ではありません。

 

 
 
そしてそれを実現するのが、本来の教員の役割になってきます。しかし、今は適切なインセンティブがなく、変化に苦しんでまでそれを実現しよう!という教員は多くはありません。
現在の教員の職業には、個人の動機付けの要素が欠けている。大抵1人で働いているので他人から褒められる事はないし、キャリアパスも見えない。先生の道を極める事はキャリアにつながらないし、出世して校長になる事は生徒に教える先生とは違った道になる。

しかしブレンディッドラーニングであればその問題を解決する可能性がある。優れた先生は1人で見れる生徒が多くなり収入が多くなる可能性があるし、ブレンディッドラーニングのアドバイザーとしての専門性を高めたりもできる。
 
しかし、一度変化を乗り越えれば、教員自身の仕事も大きく減ります。
生徒指導の個別学習が普及していけば、学年やクラスという概念も消滅し、毎年自動的に進級させる代わりに単元ごとに学習の理解度をチェックし、それを満たせば次の単元に進んでいくというような話になるだろう。したがって、通知表は決められた1学年科目の範囲についての同じ試験のタイミングを結果にするのではなく、科目ごとの学習進捗状況を知らせる報告書になっていくだろう。
 
なかなか導入は難しいのが実情ですが、経済特区のような形で、一部に絞ってやってみる、というのがよいのではないか、とまとめられています。

本の学校に導入するには、指導要領で人数やクラスのあり方が指定された状況では難しいので、特区を作ってその中で自由にやってみる、そして事例を作るというのが良いだろう

 

この100年以上、大きなイノベーションが起こっていない学校教育ですが、徐々には変化していると信じたいです。そしてどこかで一気に転換期が来ると期待します。