必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

ハイ・コンセプト(ダニエル・ピンク)

少々古い本ですが、左脳だけでは戦えない時代を生き抜くために、という主題で書かれています。

まさにその方向に進んでおり、右脳的な考え方、同時に色々処理したり、ストーリーで語ったり、デザイン思考で考えたり、ということが出来ないと市場価値(=給料)が下がっていってしまうという時代になってきているなあ、と感じます。

 

その意味では予想を的中させている本であり、今読んでも色褪せていません。

 

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

 

新しい時代を動かしていく力はこれまでとは違った新しい思考やアプローチであり、そこで重要になるのがハイコンセプト、ハイタッチである。

ハイコンセプトとは、パターンやチャンスを見いだす能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見バラバラな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。
 
ハイタッチとは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力等である。
 
つまり、左脳だけでなく右脳の働きが重要になってくるということである。
 
左脳は、逐次的に処理し、右脳は全体的、瞬時に処理する。
 
例えば、アルファベットの文字を理解することを想定してみる。左脳は一つ一つ順番に出てくる連続性のある物事の認識や、動作の順序をコントロールすることを得意としている。そのため、単語を前から順番に読んでいくような読み方になる。
 
対照的に右脳は、複数の物事を同時に処理する。
右脳は、多くのものをいちどに見る。幾何学的な形のそれぞれの部分を見て全体的な形状を把握する。なので表情を読み取るときには、右脳が特に役立つ。
 
結果として、左脳は文を、右脳は文脈の処理を得意とする。

 

 

脳の使い方を変えなければ、仕事は機械に代行されてしまう。

昔、ジョン・ヘンリーという鉄道線路作業員がいた。ジョン・ヘンリーは鉄道トンネルを山に開通させる作業に従事していた労働者の1人とされている。
だが彼は平凡な労働者ではなかった。誰よりも早く力強くハンマーを振ることができた。やがて彼の強さは巷で有名となっていった。
 
ある日、1人のセールスマンが新しい蒸気ドリルを持って現れた。どんなに力の強い男でも、これにはかなわないはずだと言う。
するとジョン・ヘンリーが、「歯車と潤滑油でできたものが人間の筋肉にかなうはずがない」と嘲笑った。そして、
「人間と機械と、どちらが速く山に穴を開けられるか競争しようではないか」
と申し出たのだ。
 
最初は機械がリードしたが、ジョン・ヘンリーもすぐに巻き返した。双方が掘り進むにつれて岩の塊が落ちてくる。ほどなくしてジョン・ヘンリーが追いついた。そして最後の最後に蒸気ドリルを抜き去り先にトンネルを貫通させたのである。
 
仲間の労働者たちは大喜びした。
しかし人間の限界をはるかに超える仕事をやり遂げた彼は、疲労のあまりにそのまま死んでしまったのである。この話が広まり、産業社会における寓話となった。
 
機械は人間よりも優れた仕事ができるかもしれないが、その結果、人間の尊厳が犠牲になった、と言うのである。

 

 
 

医師や弁護士に求められる仕事も変わっていく。

現在アメリカでは、消費者が自分でインターネット上で病気を調べ、治療の意思決定を自ら下すために使っている。
 
患者自身が、医者が利用するのと同じような情報を活用して自己診断を下すようになると、これまで全治全能の治療法提供者であった医師の役割は変わり、患者の身になって選択肢をアドバイスする存在へと変わってくる。つまり、医者に求められる力が変わってくるのである。
 
 
弁護士も同じである。現在インターネットで、契約書の草案をわずか15ドルで作ることができるサービスがある。弁護士に数千ドルを払って契約書草案を作ってもらわなくても、顧客がオンライン上で適当な書式を見つけてきて、その書式の書類を弁護士のところに持っていき、数百ドル修正を加えて仕上げてもらうことができる。
その結果法務関連業は根本的な変革を迫られている。同じことをしている弁護士たちは、より安い報酬で仕事を引き受けなければならなくなる。

 

 

誰が仕事で成功するかを測るテストは現時点ない。

現在、仕事を選ぶとき、人を採用するときにIQが重要視されている。しかしダニエル・ゴールマンの調査によると、IQが仕事の成功を左右した例は4〜10%しかない。
 
一方で、組織内で最も優れたリーダーとされる人たちには、面白い人物が多いと言う。面白いリーダーたちは、普通の管理職と比べて3倍もよく笑うらしい。しかし、人を笑わせる才能を測るための標準テストは現在一般的ではない。

 よく言われますが、テストの点がいいからって、良いマネジメントができるわけではない、というのは皆さんの直感とも同じだと思います。しかし、それをわかっていながらも、テストの点数で学校の入学者を決め、学歴フィルタで求職者をスクリーニングするというのが未だに行われています。

それは単純に、それがベストだから、ではなく、それよりも良い代案が生まれていないからですね。

 

これから求められる6つのセンスとは?

コンセプトの時代には、左脳主導の考え方を補うために、6つの不可欠なセンスを身に付ける必要がある。これら6つの感性を合わせれば、新しい時代に求められる新しい全体思考を培うのに役立つだろう。
 
・機能だけでなく「デザイン」
・議論よりは「物語」
・個別よりも「全体の調和」
・論理ではなく「共感」
・真面目だけでなく「遊び心」
・ものよりも「生きがい」
では、なぜデザインが重視されるようになったのか。
デザイン、すなわち有位性によってより高められた実用性が、個人の目標達成と職業上の成功のために必要不可欠な資質となってきた原因は、少なくとも3つある。
 
第一に、豊かになり技術が進歩したおかげで優れたデザインがより身近のものとなり、多くの人々がデザインを楽しみ、かつては一部の人しかもたなかったデザインに関する鑑識眼を身に付けるようになった。
 
第二に、物の溢れた時代になり、多くのビジネスにおいて他社製品との差別化や新規市場の創出の鍵をデザインが握るようになってきた。
 
第三に、人々がデザインに対する感性を磨けば磨くほど、世界を変えるという究極の目的のために、デザインをもっと用いることができるようになるからである。

 

 

ゲームにより身につく力は、コンセプトの時代には不可欠となりえる。

ゲームをすることで、コンセプトの時代に不可欠なスキルの多くに磨きがかかることがわかってきた。例えば視覚認知のテストでは、ゲームをする人の方が、しない人よりも30%も高い得点をとった。
テレビゲームにより、周囲の状況の変化を察知する能力や、情報を同時に処理する能力が向上するのだという。
 
また、ある研究によると週に最低3時間テレビゲームをする医師は、ゲームをしない医師に比べて、腹腔鏡手術でのミスが37%少なく、処置を27%速く行えることがわかった。
 
我々に必要なのは、現代の職場、環境、国際関係、文化などの複雑なシステムについて深く考える方法を学ぶことだ。これらのシステムの中ではすべてのものが複雑に絡まりあい、誤った意思決定は悲劇を招くからだ。そしてコンピューターやテレビゲームは、このことを教えてくれる。

 もちろん、ただ時間つぶしのためにゲームをやっていてもこうはなりません。強くなりたい、勝ちたい、速くゴールしたい、など、明確なターゲットを持って研究しながらゲームをすることで、上記のような力が身につくということでしょう。

 
 

これからの成功者と脱落者を分ける3つの自問

1.この仕事は、他の国ならもっと安くやれるだろうか?
2.この仕事は、コンピューターならもっと速くやれるだろうか?
3.自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?
 
この3つの問いを無視する人は苦しむことになるだろう。
ダラス連邦銀行がこの10年間の雇用データを調べた結果、最も増加が大きかったのは「スキルがあり、高いEQを要求される職業」(看護師など)と、「イマジネーションとクリエイティビティを求められる職業」(デザイナーなど)だった。単純に知識やスキルが求められる仕事ではないのだ。
 
コンピューターの登場により、人間のスキルで2つのカテゴリの価値が高まった。
1つは、エキスパート思考で、決まった解決策が存在しない新しい問題を解決することである。
もう一つは、複雑なコミュニケーションであり、説得や説明、その他の方法で情報についての特定の解釈を抑えることだ。

 

自分の仕事が、誰なら、機械でも、代替可能なのか、ということは自らの市場価値を測る上で大事な質問だと思います。そして、代替可能でないとしても、需要自体がなくなっては元も子もないため、それは現代人のニーズを満足させているか、というところも問わねばなりません。
 
日々忙しくしていると考える時間がないため、ふと立ち止まって、冷静に考えてみるべきですね。