必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

直感と論理をつなぐ思考法(佐宗邦威)

佐宗氏の勤めていたP&Gのマーケティングチームは、データに基づく意思決定を重視していました。しかしそのP&Gでさえ、利益の8割は「新しいゲームそのものを作った一握りのマーケター」が生み出していたとのことです。戦略思考やフレームワーク等による貢献は、残りの2割に過ぎません。
既存のルールを超え、まだ市場には存在しない新たなルールを設定し、ゲームそのものを変え、別の勝ち方をする。どうすればそのような発想をし、実現できるのか?そのために必要な思考法を「ビジョン思考」と呼んでいます。
 
私の理解では、ざっくりいうと「ムーンショットを狙った、デザイン思考」と言えるのかな、と思いましたが、いずれにせよ実践例が面白かったのでオススメさせていただきます。
 

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

 

直感と論理をつなぐために、プロトタイプはとても重要

言葉の定義は人により違いが生じやすい。アイデアをもとにプロトタイプを作り、そのプロトタイプを見ながら言語化を行う過程で、メンバーの意識が揃っていく。何か具体物があることによって、人と人との議論が生まれ、アイデアが進まなくなる事態を避けられる。
調査・分析、議論の次にプロトタイピングを挟むことにより、アウトプットの完成度が格段に上がっていく。その反復によりスピーディーな具体化が可能となる。
注意点として、最初のプロトタイプを見せる相手は、まずはそれを褒めてくれる人、新しいモノ好きな人に話すべきである。粗いアイデアの状態で批判的な事しか言わない人に持っていくべきではない。
 
同様に、メモを取る際も箇条書きではなく、絵にして考えることで、自分の理解も深まる。ノートをポンチ絵を使いながら書こうとすると、漫然と話を聞いていては書けなくなる。しっかりと理解をしないとイラストを書けないからである。落書きの啓蒙家として知られるサニー・ブラウンは、絵でノートをとると、文字と比べて記憶定着率が29%高いと語っている。

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プロトタイプによりアウトプットが飛躍的に向上
 
 

意識しないと、自分らしい思考を喪失する

自分らしい思考を無意識に失っている人は多い。その理由は大きく4つあると考えられる。
1.内発的動機が足りない
僕たちの日々の仕事や生活は、「やらなければならないからやっていること」で占められている。逆に「やりたくてやっていること」は果たしてどれぐらいあるだろうか?そもそも自分が今やっていることは、やりたいことなのか、やりたくないことなのか、それすらもわからない状態に陥っていることがある。その状態では創造性は生まれない。
 
2.インプットの幅が狭い
今の時代、レコメンドエンジンの発達により何もしなければ「自分が知りたい情報」だけが流れ込んでいるようになってしまう。そのフィルタを通じて届くのは、あなたと似た誰かが欲した情報でしかない。意識的に外部の情報を取りに行かないと考える幅はおのずと狭まってしまう。
 
3.独自性が足りない
本人は自分の意見のつもりで書いていても、結果的には誰かが言っていそうな意見、どこかで見たようなことがある意見になってしまうことが多くある。人の投稿を見る機会が増えた今だからこそ、無意識にそうなってしまう。
 
4.アウトプットが足りない
最も多くの人がぶつかる壁がこれである。いかにインプットをしても、そこで学んだことを外部に発信する機会がないと、いつまでたってもその人なりの視点が生まれてこない。学びを他者に伝えたり、展示・発表したりする場が必要である。
 
 

ビジョン思考を身に付けるためには、余白作りがすべての起点になる

ビジョン思考を身に付けるためには、自分だけの妄想アイデアを考え、それを現実世界で試し、それを繰り返す、という習慣をつけることである。難しいことではなく、誰もが子供の頃は自然とやっていることである。それを習慣化するためには、まっさらなノートのような空間的な余白、それに書き込むための時間的な余白の両方が必要である。そしてその余白を活用するためのメソッドも必要である。
 
いま日々の生活に忙殺されている人へのアドバイスとしては、「今すぐにまっさらなノートを買い、今すぐに1日30分のノートを書く予定をブロックする」ことである。
質問を行うことも余白として機能する。「もし100億円の投資を得られるとしたら何をしたいですか?」「もし3年間自由な時間ができたら何をしたいですか?」これらの質問に答えようとすることで、私たちの創造性は磨かれていく。中でも、子供時代を振り返る質問は自分の根本的な関心事などを探索する際の常套手段だと言っても良い。
 

考える際は目や手、口を使う

脳につながる神経細胞は、目や手、口に集中している。それを象徴するのが、ホムンクルスという人形である。これは人間の体を神経細胞の量により重み付けした像であり、ほとんどの神経細胞が目、手や口に集まっていることがわかる。
 
そのため、脳のできるだけ幅広い領域を同時発火させるために、目、手や口をバランスよく動かすことが必要である。目で見ながら耳で聞き、口や手を動かすそうすることで脳の同時発火を促されていく。

10%の成長ではなく、10倍の成長を考えるムーンショット

到底達成できないような妄想を描かなければ、大きな目標は達成できない。以前はそんな妄想する前に働け、と言われがちだったが、近年妄想の力が見直されている。ハーバードビジネススクールでは、「世の中を本当に変えるかもしれないBig Ideaに集中せよ」と教えられる。
今よりも10%の成長を続けるには、努力が必要である。生産性を高めたり、シェアを増やしたりという頑張りが求められる。
 
一方で、今より10倍成長させようと思ったら努力では到底不可能だとわかるので根本的にやり方を変えるしかない。途方もなく大きな目標があると個人の想像力や内発的な動機に訴えかけるアプローチを取らざるをえなくなり、努力の呪縛から自分を解放することができる。また、自分だけで達成するのではなく、世の中に存在するあらゆる資源を活用しようという発想になる。
 

デッサン力を高める

絵を描くとき、対象物をありのままに見ることができれば、一定レベルまでデッサン力を引き上げることができる。
大抵の人は、メガネ=黒い、などと先入観をもとに絵を描いてしまい、一部分が白く光っているなどのありのままの観察を実はしていないことが多い。それは少し訓練することで高めることができる力である。
 
練習1:ペットボトルスケッチ。ラベルをはがした水のペットボトルを見て、イメージに沿って絵を書いてみる。続いて、1分間位じっくり観察する時間をとってから一つ一つを再現するように書いてみる。大きく差が出るはずだ。
練習2:逆さまスケッチ。芸術作品や、漫画のキャラクターなど何でも良いが、まずは普通にスケッチをしてみる。続いてそれを逆さまにしてスケッチをしてみる。逆さまにすることで先入観が入りにくくなり、見たままを描くことができるようになる。
 

発想を柔軟に広げるために、あまのじゃくモードをオンにする

社内プロジェクトなどにおいては、大量の当たり前を皆が違和感なく受け入れがちである。そこから発想を広げるために、あえて逆を考える場を作る事は有効である。前提条件を書き出してみて、あえてその逆を提案してみる。皆がそれを提案するモードになることにより、自由な発想が生まれやすくなる。

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あまのじゃくモード

 

英雄の旅の物語フォーマットに沿って伝える

ストーリーを相手に伝える時、英雄の旅の物語フォーマットに沿って伝えると、人の心を動かしやすい。このフォーマットは、世界中の神話によく見られる形であり、スター・ウォーズタイタニックバック・トゥ・ザ・フューチャーなどにも応用されている。
最初に冴えない現実がある。その現実の中で誘いを受け、その誘いに乗るかどうか迷い、メンターから支援を受ける。
続いて特別な世界への入り口がある。誘いに乗り一線を超えた後、大きな試練が待ち受けている。何とかそれを克服しそれに伴う報酬を得る。
最後に変化した現実世界が訪れる。試練を経て得た報酬を持って現実世界へ帰ってくるのである。
 
自分がアイデアを相手に伝えるときも、このストーリーに沿うように説明を組むことで、伝わりやすい説明になる。

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物語フォーマット

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ストーリーボード


パラパラとまとめてしまったので、ストーリー性はまったくないのですが、少しでも参考になれば幸いです。