TRUST 世界最先端の企業はいかに<信頼>を攻略したか(Rachel Botsman)
私達がメルカリでものを買うとき、相手が商品を送ってくるだろうか?それは詐欺ではないだろうか?という疑いを持つと思います。それでもお金を払い、取引をしてみるのは、過去のレビュー、そして何より、間にメルカリが入り、仲介してくれるからです。
それは、メルカリを信頼しているから。メルカリが、ある日突然閉鎖し、預かっているお金を持ち逃げするかもしれない、とは誰も思っていないと思います。
そんな、ある意味空気のように存在している「信頼」に焦点を当てた本書。時代とともに信頼のあり方が変わってきた、というところは、意識したことはなかったですが、なるほどと思わされました。
<要約>
信頼とは、未知のものとの確かな関係
信頼とは、未知のものに自信を持つこと
時代とともに信頼のあり方が変わってきた
信頼は3つの時期に分けられる。
最初は「ローカルな信頼」であり、私たちが小さなコミュニティに住み、顔見知りの人だけを信頼していた時である。
続いて、「制度への信頼」になった。私たちは役所や学校や、企業や報道を信じるようになった。
そして今、私たちは「分散された信頼」という第3のステージに入っている。それを可能にするのがレビューのシステムだ。一握りの権力者のお墨付きよりも、数多くのユーザーの意見を私たちは信じる。仮に多少の偏りがあったとしても。それが機能している最も顕著な例がダークネットにおけるドラッグ取引だ。
ビジネスにおいて、信頼はとても重要であり、信頼があることでシンプルにビジネスができる
2014年アリババが株式を上場したとき、ジャック・マーは信頼という言葉を何度も強調した。
「信頼。私達を信頼してほしい。市場を信頼し、若者を信頼してほしい」「もちろん、信頼は努力して得るものだ。信頼できれば、全てがシンプルになる。信頼できなければ、物事は複雑になる」
信頼に値するか、は有能性、頼りがい、正直さ、の3つの要素に左右される
ひとが信頼に値するかどうかを見極める際、3つの要素に左右される。その人は有能か?その人が頼りがいがあるか?その人は正直か?
- 有能さとは、その人があることをやり遂げる能力があるかどうかだ。
- 頼りがいとは、その人があなたのためにやると言ったことを必ずやるかどうかだ。その人に任せても大丈夫と確信を持てるかどうか。
レビューの存在により、信頼のあり方が変わってきている。薬物取引が顕著な例だ
ダークネットが現れる前は、薬物の取引は知り合いの客にしか行われなかった。知り合いの紹介しか新しい客にならなかった。つまり、信頼は数名の個人の中だけに直接的に存在する。
それとは対照的に、ダークネットは開かれたネットワークだ。そこでの信頼はレビューや格付けといった定量的な基準で表される。それが、これまでの薬物的に必須とされた個人間の信頼の代わりになる。
相手の顔もわからないまま取引をするにも関わらず、レビューという機能の存在のせいか、ダークネットで取引された薬物の純度は、相対取引の純度よりも平均して高い。ダークネット上でのウリ文句も、普通の商品と変わらない。顧客満足度を大切にしています、のような記載が多く見られる。フェアトレードを行っています、のような記載すらある。
ブロックチェーンは信頼のあり方に革命を起こし、いくつかの職業が消滅するかもしれない
ブロックチェーンにより、もの自体に履歴が刻めるようになった。金融取引をはじめとする所有権移転が重要になる商品や、ダイヤモンドなどの真贋が重要な商品では、その移転を証明するために信頼される機関が存在している。銀行、政府、管理人などの第三者機関である。ブロックチェーンの台頭により、第三者機関の価値であった「取引への信頼性」は価値を失っていくだろう。そうすると、別の付加価値を見つけないと、その商売は消滅するかもしれない。
紛争地帯での違法労働問題も関係するダイヤモンドでは、すでにブロックチェーンが活用されている。
参考)
言われてみれば確かに...と思わされます。
というご紹介でした。