必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

論理的思考のコアスキル(波頭 亮)

ロジカルシンキングが大事だ」、「クリティカルシンキングができていない!」など横文字で言われるとよくわからないですよね。

日本語で言えば、論理的思考をし、かつ、情報を鵜呑みにしない、自分の頭で考える、ということになります。

その論理的思考について、とてもシンプルにわかりやすく言語化されている本に出会いましたので共有です。値段も安いのでぜひ手にとって見てください。

論理的思考のコアスキル (ちくま新書)

 

「思考」とは何か

情報と知識を照らし合わせたりつなぎ合わせたりして何らかのメッセージを得るプロセスが「思考」である。例えば、この花はなんだろうと疑問に思った時に周辺の情報や自分の過去の経験・知識をもとにその答えを導き出すプロセスを思考と呼ぶ。
 
ものをわかるためには、情報を得る「情報収集力」と、得られた情報を加工する「思考」のスキルが必要である。
そして「思考」の力は、得られた情報に対して照らし合わせるための「知識」と、情報と知識等を照らし合わせたりつなぎ合わせたりする「情報の加工力」のファクターで構成されている。
 
情報加工は、分ける、比べる、くくる、という3つの基礎的な情報加工作業からなる。得た情報を細かい単位に分割し、それをお互い比較することで体系化し、それぞれをくくることで抽象化し、思考の次元・幅を拡大する。
 
例えば、水族館でタコやイカ、アジなどの生き物を見たとする。まずはそれぞれの生き物を分けて考える。タコとイカは別の生き物である。その後それぞれを比べる。アジとタコは大きく違うということがわかり、それに比べるとタコとイカは似ているということがわかる。
そして最後にくくる。アジやサンマのようなものを魚としてくくり、たこやいかを軟体動物としてくくる。それにより、次に新しい生き物を見たときに、そのくくりの中に入るかどうかで判断ができるようになる。こうして得た情報から思考を抽象化し、他の思考に活かすことができる。
 
 
 

「論理」とは何か

論理とは、ある命題から、推論によって次段階の命題が導かれている命題構造、あるいはそうした命題構造における、思考の道筋である。
簡単に言えば「したがって」「なぜならば」で繋がれた命題構造と言える。
今日は晴れている。晴れているから水分が蒸発しやすく、洗濯物は乾きやすいだろう。したがって洗濯をする人が多い。
のような流れである。
 
(このとき、今日は晴れているから洗濯をする人が多い、というのは間を飛ばして述べられている。ここを聞いた相手が不自由なく繋げられればよいが、そうでないと「論理の飛躍だ」という話になり、思考が相手に伝わらなくなる)
 

それらを統合して、「論理的思考」とは

論理的思考とは、情報と知識を組み合わせて、客観的妥当性を有する思考の道筋によって、既呈命題から次段階の命題を導く、あるいは結論を根拠によって支える形態の論理命題構造を作り出すこと、なのである。
 
論理的思考を行うときのフォーマットとして、演繹法帰納法がある。演繹法は純粋論理的の論理展開の方法論であり、一方で帰納法は実証科学的な方法論である。演繹法によって得られる結論は、「真か偽か」で明快に判断することが可能であるのに対して、帰納法によって得られる結論は、その正しさの程度が「強い、弱い」で判断される性質のものなのである。
例として、「自分が知っている10人の中国人全員が声が大きいので、10億人いる中国人全員が声が大きい」と言うのが帰納法であり、もちろんそれは正しいかどうかは誰にもわからない。10人の事例は、1人の事例よりは正しさは強いだろうが、100人の事例よりは根拠が弱い、といえる。一方で中国語の発音の形式の特徴として音が大きくなりがちだ、という理由で中国人の声が大きいと言うのは演繹法であり、大きいの定義はさておき、それは正しい。
 
 
 

ファクトのないロジックには何の意味もない。

いずれにしても、重要になるのはファクトとロジックである。ファクトとロジックが両方揃っていてこそ、論理的思考によって客観的に正しい結論を得ることができる。偽情報をもとにロジックを組んでも、その結論が正しいことはない。
 
 

論理的思考の3つのコアスキル

1つ目のコアスキルは、思考している意味内容を的確に言葉で表すための、適切な言語化スキルである。
2つ目のコアスキルは、事象を構成要素に「分ける」スキルと、ある事象と別の事象を意味やイメージの連関性によって「つなげる」スキルである。
3つ目のコアスキルとして、論理的思考に現実的有効性を与えるための定量的な判断スキルがある。
 
これらのスキルを補完するものとして、知識と経験がある。何より、論理的に思考するという経験値を何万時間と貯めていくことが重要となる。
 
この言語化のスキル、はコンサルティング会社でも耳にタコができるほどに指摘される。思考を言語化し、そして論理的に文章に書けないと、いいアイデアを持っていても相手に全く伝わらない。
論理的な思考に基づき論理的な文章を構成するために、ピラミッドストラクチャーに基づく構造を作ってから文章を書くと良い。一番上に結論があり、その根拠が下に続いていく。ピラミッドにおける上下は、「したがって」もしくは「なぜならば」で繋がれた論理的な関係性を明示している。この1つ目のスキルはとても習得が難しい。何度も考え、経験し、いい文章を読みながら吸収していく必要がある。
 
 
2つ目、3つ目については、ちょっと考えて訓練すればある程度身につけることができるようになる。
分けるスキルには、3つの要件があり「次元、レイヤーの統一」「適切なクライテリアの設定」「MECEに分ける」である。当たり前ではあるが、タコの吸盤、とイカの寿命、は明らかに次元が違い比べるものではない。「タコには吸盤があるが、イカには口がある」、というのもレイヤーが違う。海の中の生き物を、骨がない生き物と、深海魚、に分けると、MECEにならない。そのあたりの違和感を身につけるのはそう難しくはないと思う。
 
 
以上、個人的なコメントも含めてまとめてみました。参考になれば幸いです。
世の中の文章が全て論理的になれば、読む方も楽なんですけどね...
 
 
 

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