必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

影響力の武器(ロバート・チャルディーニ)

人の意思決定はどのように行われているのか、について、研究結果をベースに書かれている本です。紹介されているどの「原理」も、「あー、たしかに!」というものばかりです。しかし一方で、意識的にそれを見破れても、使えてもいません。

ということは自分もカモになっているんだな、と実感します。とても分厚い本ですが、読んでいて楽しいのでサクサク読めますよ。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

コントラストの原理

2番目に提示されるものが最初に提示されるものと大きく異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまうこと。
 
例えば、最初に軽いものを持ち上げ、次に重いものを持ち上げると、実際よりも重く感じます。
最初に高いものを買ったあと、次に安いものを見せられると、それが本当に安いかどうかにかかわらずお買い得に見えてしまい、買ってしまいます。
あなたがセールスマンなら、高価な品を先に見せ、それを買ってもらった後に安いものを売りましょう。

 

不動産屋は数件案内するときに、割高の家から順番に見せていきます。そうすると最後に本命を見せたとき、実際以上に立派で割安に見えるので、取引が成立しやすいらしいです。これは単価の話ではなく、「こんなに立派なのに、対してさっきの家と値段が変わらない」というようにコスパの話であり、実際は高いものを売りつけられてしまうこともありえます。
また、自動車を買うとき、本体を決めてから、カーナビやホイール、細かい装飾などで気づいたら数十万円のオプションを契約していることもあるのではないでしょうか?これも、300万円のものを買うのだから、今更30万円くらいは大したことない、と自然に考えてしまうコントラストの原理が影響しています。
 
 

返報性の原理

他人が自分に何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならないと感じること。
返報性の原理はどのような状況でも効果を発揮します。ワシントンで催されたディナーパーティー武装した男が乱入し、銃を振り回しながら金銭を要求しました。ところが、その男は途中で心変わりし、謝罪の言葉を述べると会場から立ち去っていきました。きっかけは、残っていたワインとチーズを勧められたことでした。
また、以前私はある少年に5ドルのチケットを何枚か買ってくれと言われ、断りました。そしてその後に「なら1ドルのチョコバーを買ってください」と言われ、気づいたら買っていました。これは、コントラストの原理によりチョコバーが安く感じてしまったことに加え、最初に断ってしまったから次は断ってはいけない、という返報性のルールに縛られたのです。

 

 
無料で点検をしますと言い家の火災報知器の点検をした後に、自社の高級な火災報知器を売り込むというのも、返報性の原理です。最初に無料サービスを受け取ってしまった、次はなにか自分がお返ししなければ、という印象を感じさせるのです。(アメリカではこの手の営業がよくあるらしいです)
 
 
 

一貫性の原理

世間的には一貫性にしがみつくことが一般的に正しいとされていて、かつ楽なので、人は一貫性を保ちやすい、という原理。
これを応用すると、大きな合意のために、小さな合意を得ていくことで、大きな成果につながります。
 
例として、ボランティアを依頼する場合、先に架空の条件でYesを引き出しておくと、本当に依頼した場合もYesを引き出しやすい、ということが紹介されています。
実験として、「アメリカがん協会の寄付を集めるために3時間のボランティアを依頼されたらどうしますか?」と言う質問を先に行い、「協力すると思う」と言わざるを得ない雰囲気に持っていきながらYesを引き出しました。その数日後、実際にボランティアになってほしいという依頼を出すと、多くの人が参加をしてくれます。それは、事前に質問をしないときに比べて、その8倍の比率になります。
 
 
別の例では、朝鮮戦争の時、中国共産党アメリカの捕虜に対して一貫性の法則を使い、非暴力的にいろいろな協力を得ることに成功しました。
アメリカの兵士は名前や識別番号以外は話してはならないというルールがあります。中国人は非常に穏やかに、取るに足らないような反米的な意見を述べるように求めました。アメリカ合衆国は完全ではない、中国の全てを嫌っているわけではない、など、些細なことです。ですが、一度こうした小さな要求に従ってしまうと、次はそれと関連した、しかし、もっと本質的な要求に応じなければならない羽目に陥ります。どういう点で完全ではないのかということを説明させられ、その後にアメリカの問題点リストを作成し、そこにサインすることを求められるのです。
そして、仲間との討論の場でそのリストを読み上げるように言われ、次に中国に流れるラジオでそれを紹介されます。これを完全に拒絶できたのはほんの一握りの人だけでした。

 

 
このような最初に小さな要求を飲ませ、それから関連するもっと大きな要求を通すと言う方は、フットインザドアテクニックと呼ばれています。
 
ある種の決めつけにより、交渉を有利にすすめることができるようになります。交渉の前に、相手に対して印象を伝えると、相手はその印象に沿った行動を自然と取るようになる。「あなたは親切で、慈善事業を重要視していると噂を聞いております」と伝えた相手は、慈善事業への寄付をしやすくなります。
 
 
 

味方か敵か。

人は集団に属したがる。そして自分の集団ではない、とみなした相手に対して敵意を剥き出しにする。
一つの集団を二つに分け、それぞれにチームの名前をつけ、さらに競争を煽るような施策をいくつかするだけで、驚くべきほどに対立が深くなります。
それを解消するためには共通の敵や課題を作るのが効果的です。一度、その課題に立ち向かう仲間だ、と思えれば仲は良くなり協力し合うようになります。敵の敵は味方、ということですね。
 
 
アイザックアシモフは、私たちが勝負事一般を見るときの反応を次のように描写しています。他のすべての条件が等しければ、人は自分と同じ性別、同じ文化、同じ地方の人を応援します。その人が証明したいと思っているのは、自分が他の人より優れているということなのです。応援する相手が誰であれ、その相手は自分の代理になります。そして、その人の勝利は自分の勝利になります。
 
 

人は権威に服従する。

どんな人も医師や教師、会社の役員等の権威に対し無意識に復習する傾向がある。
 
いくつもの事例があるが、例えば看護師に対する実験が顕著でわかりやすいです。
実験として、22人の看護師に電話をかけました。「病院の医師」だ、と名乗り、特定の病室の患者に対しアストロゲンと言う薬を20ミリグラム投与するように指示してみました。
その際、看護師には指示がおかしいと疑うべき理由が4つもありました。まず、電話で服薬指示をするのは病院の規定に対して違反しています。また、アストロゲンという薬自体が認可されていない薬です。指示された服用量は1日の許容最大量を大きく超えていました。そして何より、看護師は電話で指示してきた男性と会ったことも話をしたこともなく、病院の中でその人物を見かけたことさえなかったのです。
それにもかかわらず、95%の看護師が電話の直後に薬品棚に直行しそれを投与するために患者の病室に行こうとしました。医師からの指示を受けた、というだけで、自らが持っている専門知識を活用して考える回路が遮断され、すぐに指示に従わなくてはいけないと看護師は感じたということです。

 

 
もちろん、詐欺師はこの力をうまく使います。あたかも医者や教授、専門家であるように思わせることにたけています。それには、制服やスーツ、白衣などの服装に加え、車や付き人などの広い意味での外見を上手く使います。
 
 

希少性

人々は禁止されたり、それが希少性が高いものだと知ると、逆に欲しくなると言う習性がある。それが希少性である。
有名な格言として、「あなたが何かをやらなければならない時、その方法は3つある。自分でやるか、お金を払って人にやってもらうか、ティーネージャーにそれをやってはいけないと伝えるか、である」というものがあります。それくらい、希少なものは欲しくなります。
優秀なセールスマンは買うか買わないか悩んでいる人に対して、「それは最後の1個です」や、「実はもう売り切れてしまって無いんです。念の為、倉庫を見てきましょうか?」と嘘をついたりします。それにより、売り物の希少性が高まり、価値が跳ね上がるのです。
 
 
 
以上、お読みいただいた方は「確かに!」と思われたのではないでしょうか?人間の脳は、不思議ですね。それでは、また!