カスタマーサクセスとは何か(弘子 ラザヴィ)
近年、米国を起点としてセールスよりもカスタマーサクセスを重要視する風潮が強くなってきています。日本の求人でも、カスタマーサクセスマネージャー、という求人をよく見るようになりましたし、営業よりも給与が高めの設定のことも多いと感じます。
そんなカスタマーサクセスですが日本ではまだまだ知名度が低いです。今後雇用が増えていく職種と思いますので、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
カスタマーサクセスとは、最初の商いを継続し、商いの減少を最小化し(チャーン)、そして商いを増やす(アップセル、クロスセル)ことです。
サザエさんの三河屋さんの現代版である、というイメージがわかりやすい。定期的に裏口から顔を出し、既存の商いを継続しながら新商品などの需要を喚起する。それをサザエさん一家のことを考えながら提案することで、継続的な関係を構築する。それを最近のカスタマーサクセスの用語に直すとこのような構図になる。
セールスと大きく違うところは、売る相手を選ぶ、というところになります。
なぜなら、長年に渡る関係を築くには、売るべきでない相手、例えば自社のサービスを使っても本当は顧客のビジネスに好影響がない場合は、無理やり売るとその後のコスト(対応する直接コストの他に、評判の悪化などの二次的コストも含みます)が高く付くからです。
カスタマーサクセスを重視する会社にとって、「成功を届けられない相手にはそもそも売らない」と決めることが重要である。そのための仕組みづくりのポイントは3つある。
売るべき相手と売ってはいけない相手が一目瞭然になる顧客セグメント開発する
カスタマーの成功に基づく分類 成功におけるプロダクトの重要性 x カスタマーの事業規模に基づく分類 など 売ってはいけない相手に「ノー」といえるスキルトレーニングを実施 正しい顧客に売っているかを評価する指標を決め、定期的に測定して経営陣へ報告
また、顧客対応の上でも、相手に平身低頭で尽くす、というカスタマーサポートのイメージとは明確に違います。
「おもてなし幻想」という書籍によると、重要なことは
エフォートレス、というのは中長期的な目線での指摘である。例えば、顧客が何かで問い合わせをしてきた際、本来は顧客は問い合わせ電話をしたくなかったはずである。つまり、エフォートレス、とは電話しなくても解決策がわかる、ということである。となると、カスタマーサクセスが行うべきは、まずは電話で説明した後、「この説明はヘルプセンターに書いてあります。なので次回からはまずヘルプセンターで調べてみることをおすすめします」という事である。一見冷たく感じるが、それによりサービス、会社へのロイヤリティはむしろ向上する。
既存の企業がカスタマーサクセスを行うリテンションモデル事業に移行する場合、予算配分を見直す必要があります。しかし、これが難しいのです。
リテンションモデルの事業では通常、2年目以降の契約から受け取る収益が全体の過半数を占める。(一方で売り切りモデルの場合は初年度の打ち上げが大半を占める)
過去の営業スタイルがなんか違うなあ、、と思っていた方、ぜひカスタマーサクセスのしごとに飛び込んでみてはいかがでしょうか?とても難しいですが、とても面白いですよ!何より、「これを売っても、相手はいずれ悲しむんだよなあ、、」と思いながらも売らなきゃいけない、というようなストレスと無縁になります!