部下を育てるリーダーのレトリック(中竹竜二)
一流ラグビーコーチである著者による、人を動かすレトリックの本です。
最近話題のレトリックに関する本は ↓ が話題ですが、個人的には中竹さんの本のほうがとてもしっくり来ました(それに、わかりやすくて読みやすい)ので、中竹さんの本をご紹介します。
(↑確かに面白いのですが、冗長で、翻訳がちょっと読みにくいと感じました。簡潔なメモだけ、今度記載します)
個人的に、チームのモチベーションを上げるのがリーダーシップだと思っています。その方法として、サーバントタイプやキャプテンタイプ等色々あると思いますが、その大元となるのがこの「レトリック」なのだ、と感じました。
言葉で人を動かす機会は数え切れないほど多いと思います。まずはそれを認識し、How toとして下記のことを把握し、チームで気持ちよく仕事をして成果を出していきたいですね。
- 価格: 1540 円
- 楽天で詳細を見る
レトリックとは効果的な言語表現の技術
リーダーが口にする言葉は重要である。言葉によって人や組織を成長に導くことができる。
レトリックとは、古代ギリシアに始まった「効果的な言語表現の技術」であり、日本では修辞学と呼ばれる。
歴史を振り返れば、皇帝や武将などが必ず学ぶ教養科目の1つだった。側近の部下はもちろん、時には民衆や一兵卒にもわかりやすく物事を伝え、納得させ、人を動かすことが重要だった彼らにとって、必須のスキルだったのである。
すごい人にはならなくても、できる人にはなれる
すごい人と呼ばれるには才能や経験やら複雑な要素が混じっていて、なろうと思ってなれるものではない。一方、できる人になるなら誰もができる。
できる人とは、事前にしっかり準備し、求められていることをきっちりとこなす人である。
そこを混同して考えている人が多いが、きちんと分けて考えるように、部下には伝えていくべきである。高すぎて実現不可能な目標を持っても仕方ないため、現実的な目標、できる人になる、ということを伝えていきたい。
部下をストレスから解放する
自分の苦手なことをやらなければならない、と思い込んでいる人は多い。
そんな時に、苦手な事はやらなくていい。君の得意なこのポイントを使って皆に示してほしい。君が持つらしさ、スタイルを活かして頑張れ。そう激励するだけで、彼らは大きなストレスから解放され、ポジティブに仕事や役割に向かうようになる。
自分のらしさを見つけるには、短所に着目するのが良い。
短所を補うためには、それをしなくても良い方法を編み出すことである。そしてそのスタイルが自分らしさ、になる。
例えば自分の足が遅い場合、それを自分のらしさと捉える。その上で、足が速くなくても勝てるような方法を考え、その勝ち方を自分らしさをする。
営業なのに口下手な場合、話さなくても案件が取れるような事前分析を行うらしさをつけ、そこで勝負すれば良い。
らしさは瞬間に宿る。
相手のらしさを探すには、観察をするのはもちろんであるが、その際は瞬間瞬間に着目する。例えば資料作成スキルが平凡だとしても、逆境における提案の資料作成が抜群の場合、その瞬間だけを抜き出して強み、らしさとする。
観察する時間が取れない場合は、「今、自分てイケてるなと思う瞬間はなんですか?」と問いかけてみること。
そして、それを瞬間芸に終わらせず成果に結びつけるために、同じような強みを持つ人の活躍の例を探してきたり、その活かし方を一緒に考えたりすることが大事である。そして強みを補完する、相性の良い人をアサインする。
目標を立てるときは、その達成の道のりも話し合う
部下と目標を相談する時、目標の達成する内容を決めても、その道筋を細かく議論する事は少ないのではないかと思う。
ただし、道のりは部下のらしさ、によって異なる。前半は成果が少なくとも、後半に成果が出やすいタイプもいるし、そうでないタイプもいる。
その達成の流れを議論しておかないと、上司に不信感が募ることになったり、また部下は信頼されていないと感じたりする。
そのため、部下のらしさをもとに、目標達成のストーリーを描き、それを議論しすり合わせておく方が良い。
成功の中の小さな失敗や、失敗の中の小さな成功こそ大事にする
失敗したときの振り返りは誰もがすると思う。大事なのは成功した時、何が良かったのかを振り返ることで。そしてその再現性を高めることで成功確率を上げていく。
さらに、成功した時も、もっとよくやれた場所はなかったかと考えたり、失敗した時もただ反省会になるだけではなく、その中でも良かったところを見つけることによってポジティブな感情を狙っていく
上達のためには、準備、実行、振り返りのサイクルをきちんと回すこと。闇雲に実行だけ増やしても、上達スピードは遅くなる。
「準備を失敗すると言う事は、失敗の準備をしたことと同じである。」
敵は誰だ?
一見、名誉あるポジションに選ばれたと本人に伝えたとしても、全員がそれを心から喜ぶ訳ではない。人によっては、モチベーションが高まらないこともある。そんな時、共通の敵を作ること、そしてその敵の存在を強く意識させることが本人のモチベーションを大きく変えるきっかけになる。
例えば、U20に選ばれた、と伝えたとしても、他に優先すべきものが合ったり、今のチームに後ろめたさを感じたり、人によってはネガティブな感情が優先する。そんなとき、優勝候補チームの練習に参加し、敵を間近で見ることで敵を意識し、そこに勝つというモチベーションが本人に湧き上がってくることもある。
超悲観的に準備して、超楽観的に実践しよう
背伸びしたチャレンジは、誰しも逃げたくなるもの。そんな時はこんな言葉が重要になる。
準備を怠るものは成功しないが、逆に準備を十二分に行ったあとは、「さあ、あとは楽しもう」という気持ちで臨みたいし、そう部下にも促したい。
目標は高く。
100メートル走でタイムを上げようと思ったら、それが120メートル走だと、自分に思い込ませれば良い。
絶対に相手に勝とうと思ったら、絶対に勝つという目標ではなく、大差をつけて勝つという目標にすべきである。
いろいろな不遇の事態が起こっても、最低限勝てるような目標をおくことで、目線を引き上げると同時に、現実的な利益を取りに行くことができる。
直感で判断しても良いが、それをロジックで説明する。
現場を担当している人は、それにインボルブした状態になっている。一方で、その報告を受けている上司はデタッチメントされている状態にある。
そんな時、デタッチメントされている人には違和感があったとしても、インボルブしている人の直感が正しい場合もある。
そのため、自分がデタッチメントされていると認識しているときは、インボルブしている人の直感を信じたほうが良い。しかし、同時にそれをロジックでも説明してもらうことで、直感も論理も両方大事と言える人材を育てていくことができると思う。
「その直感は正しいと思う。ただ視点を変えて、それをロジカルに説明してみてもらえないかな?」
「相談するなら、選択肢を持ってきて。」
何かを相談される時、オープンクエスチョンで相談をしてくる人がいると、決まって私は、オープンクエスチョンは無し。選択肢を持ってきてと言う。
イエスかノーで答えられる選択肢を持ってくることがコミュニケーションのスピードアップにつながるし、何より本人の成長につながるからである。
以上です。自分が学生時代スポーツに打ち込んでいたこともあるからなのか、とてもしっくり来る事例とその抽象化が多く、数ページめくってはメモを書く、みたいに読んでいました。よろしければぜひ!