必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

V字回復の経営(三枝匡):まとめ編

とても久しぶりの投稿になってしまいました。

勉強になり、感動し、投稿せざるを得ない!と思ったのでこちらに投稿します。長くなってしまうので、まとめ、と抜粋、に分けて投稿します。三枝さんのこんな名著を今まで読んでいなかったのが恥ずかしくなりました...

 

本書は、コマツの子会社のターンアラウンドの実例をもとに、架空の会社のV字回復をストーリーで書いています。単純な小説としても読みやすいですし、その裏にあった実話を想像しながら読むことでとても多くのことが学べます。

読みやすいので、是非!

(なんだか、文庫本以外は絶版になってしまったみたいです...前の表紙のほうがかっこよかったんですが...)

V字回復の経営 増補改訂版 (日経ビジネス人文庫)

[rakuten:book:20290490:detail]

 

<まとめ:V字回復までの流れ>

まずはトップ(親会社社長)が意思を固め、かつ一定期間は何が起きても我慢をすると覚悟を決める。

次に改革を指導するその事業のトップ(力のリーダー)を決める。
この時、極めて難しい環境でも心が折れない精神力とどっしりと構えている肝っ玉、リーダーシップを持っていることが必須となる。そして何よりトップが力のリーダーを全力で支えるってことが大事になる。

 

続いて戦略的アドバイスをする担当(智のリーダー)を決める。短期決戦で回復させないといけない事業の場合、試行錯誤している時間はなるべく短くする。そのために理論と経験に裏打ちされた戦略アドバイザーを持っておくことが重要となる。なお、大抵、赤字に苦しむような事業の中では戦略的視点を持っている人材はほぼいないので、社員はその視点がないと言う前提で進めなければならない。

 

その後、多くの人と話をし、現状把握する中でタスクフォースの責任者とメンバーを選抜していく。ここの人選で間違うと大きく失敗する。見るべきポイントは後述するように、心理的に前向きかどうかと厳しい局面でも強いメンタルで乗り越えられるか、それなりに社内で人気があるか、そして何より会社を良くしたいという意思を強く持っているかどうか。

タスクフォースメンバーを決めた後は、4カ月間で計画を練る。その際最も大事なのは全社員の危機感を強め、問題を自分ごと化する意識改革をすることである。
そのために、個人批判をするのではなく会社の組織構造として、何が問題で現場で何が起きているのかという現状認識を丁寧に作る。その時に重要なのは、誰からも文句を挟まれないような事実ベースで作成することである。解釈の余地があるような話題が1つでも入っていると、そこから全体が崩れかねない。

 

それをまとめ、全員が自分事として反省するようなストーリーが出来上がったら、実際に解決策に移っていく。

解決策を探る際はシンプルに、創って、作って、売るを中小企業のように素早く行い、かつお客様目線を忘れない方法を探る。今回の例だと、似ている製品群ごとにビジネスユニットを細かく分け、それぞれの事業部を100人程度にすることで全員の顔が見える組織にした。それにより自分ごと化を図るとともに、諸悪の根源であった社内組織同士の意思疎通の弱さ、非効率さを抜本的に改善するのが目的だった。この時に最も大事なのはその再生プランを作成するタスクフォースメンバーが、あたかも自分が新しくできた事業部のトップとしてやり切る前提で作ることである。

外部コンサルタントではなく社内メンバーで作る利点はここにある。絵に描いた餅と社員に思われれば何も起こらなくなる。

 

全体プランが出来上がった後、それを理解できるようなストーリーにまとめあげ、まずはトップに説明をする。合意をもらい、全力バックアップを取りつけた後に、関連事業部の現経営層に説明をする。ここは大きなリスクポイントであり、自分たちを否定されたと感じる現在の経営陣から計画に難癖をつけられたり、あからさまな反対活動をされる可能性がある。明確な反対派は、力のリーダーによる強いリーダーシップのもと除外する。本書では、そのような状況で力のリーダーが、他の社員の前であっても「会社を立て直すという意義」に沿って激怒し、本人を怒鳴りつけた。その勢いが他の社員に伝わることで明確な反対派を押さえ込むと思う大事なポイントである。ただし、これは逆効果になる場合もあるので、他の人たちの様子や本人のタイプ(喧嘩になるのかおとなしくするのか)等を見極めた上で、その場で怒るのか、その場は流して後で怒るのか、すぐに更迭するのか、対応を練らなければならない。判断まで、その間数秒である。

 

続いて全社員に向けては、現状と改革の大枠だけを伝える。大枠というのは、抜本的な改革を行わなければならない、2年以内に黒字化しなければこの事業はなくなり皆の仕事もなくなる、というレベルである。現場にこの時点で具体的な再生プランを説明しないのは、まだ完全に人事が固まっていないからである。

ポイントは30~40人の小さな規模で力のリーダーが直接説明していくことである。大勢を集めてやってしまうと社員の反応がわからず、改革が常に気になることがあるためここはコストをかけていく。

 

この発表の後、課長クラスと話を詰めていき各ビジネスユニットにどの社員を配置するのかということを全て決めていく。

そして決まった後は全社員にそれを伝えていく。二度手間になるが、人事が固まらない状態で公表するとかえってよくない場合があるので、ケースバイケースである

 

その際新しく作るビジネスユニットのトップ人事が極めて大きなポイントになる。元経営層は社員から「お前が責任を取るべきだ」と思われていることが多く、外から連れてくるか、内部にいる優秀な若手を抜擢するかの2択となる。内部の優秀者を思い切ってあげたほうが、結果的には良くなることが多いが、その場合は元上司や先輩が部下になると言う点で抜擢されたものへの心理的な負荷が相当なものになる。全員がその状態に慣れ、受け入れるまで、動のリーダー、力のリーダー、トップが全力でサポートする必要がある。具体的にはビジネスユニットの会議に出席したり、降格となった社員に1対1で話をしたりと、地道な取り組みである。しかし業績成果が出ればこれもすぐに変わる。

 

新しい体制がスタートした後、最も重要な事は決めたことを確実に実行するということに尽きる。組織をいじってそれだけで終わってしまう例が多く、それは新しい組織でやると決めたことを実行せずにいる社員を野放しにしたり、実行したものが逆に白い目で見られるという状況を放置してしまうことが原因である。ここも力のリーダーと、動のリーダーが分担しながら着実に前に進めていく。

加えて重要な事は、この体制変換及び意識改革をお客様にも理解してもらうことである。そのために力のリーダーは営業責任者とともに重要顧客を回り、新しい体制の説明と過去への謝罪、そして新たな提案をもっていく。代理店を起用している場合は代理店に集まってもらい皆の前で過去の過ちを認めこれから変わっていくと宣言する。本書の例では代理店会に過去初めてトップが出席し、そして謝罪をした。これも力のリーダーによる演出であったが、何よりも心を動かすことが大事であるため、使えるものは使っていく。

 

早ければ1ヵ月目から成果は出始める。成果が出始めたときのポイントは、黒字化するなどの転換点を「大げさ」に祝うことである。この時点では改革宣言などの高揚感で皆が120%の力を出していることが多く、定着するとは限らない。定着させるために、危機感を煽っていた以前とは異なり、適度な危機感とともに達成感を大げさに表現するのである。本書では、トップからビジネスユニット社長に花束を届けた(現場社員からは信じられないこと)。多少大げさでも、今のやり方は間違っていないという事を全社員に腹オチさせることができれば、この改革は色褪せずに続いていく。

もちろん、黒字化したら終わりではなく、大きな利益が出ない場合には黒字化した状態で社外に売却すると言うこともあり得る。そこもトップは冷静に判断をしなければならない。

この一連の中で最も大事であることは次世代を背負って立つ経営人材が多く排出されることである。この厳しい戦いの中で大きく成長した人材が増えることで全社としても人材の厚みが増していき競争力の源泉となっていく。何もせずにダラダラ続けるよりも、一か八かの改革に出たほうが得るものは多い。

 

 

出典

V字回復の経営 増補改訂版 (日経ビジネス人文庫)

V字回復の経営 2年で会社を変えられますか 企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

 

 

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