数学ガール(結城浩)
こちらで紹介されていたので、早速読んでみました。ストーリー自体もとても面白く、楽しく読みながら数学の面白さ、深さを体感しました。(こういう思春期もかっこいいなと思いました。)
科学雑誌Newtonの2021年9月号の特集は「科学の魅力がつまった100冊を一挙紹介 科学の名著」という特集のようです。「数学の魅力がつまった名著」の一冊として『数学ガール』もご紹介いただいています。感謝!(画像は公式サイトから)https://t.co/ITqVewL4JV pic.twitter.com/LULfm5JSZH
— 結城浩 (@hyuki) 2021年7月25日
受験勉強向けに頑張っていた記憶があるものの、こういう、深い数学の捉え方はできなかったなあ、と昔を反省するとともにおとなになった今、良さを感じました。
また勉強してみよう。
なお、本書では素数の面白さに始まり、フェルマーの最終定理の証明にまでスムーズに繋がります。流石に最終定理の証明の部分は数式ガンガン出てくるとついていけないだろうというご配慮のもと、数式ではなく論理で書かれていて本当に勉強になりました。
具体的には
フェルマーの最終定理はいくつかのnについてのみ証明されていたものの、全体証明はされていなかった1986年において、
- フライ曲線の存在
- フライ曲線と楕円関数の関係(フライ曲線は、楕円曲線の一種である)
- フライ曲線とモジュラーの関係(フライ曲線は、モジュラーではない)
が証明されていたこと、そしてその3つに加えて、
- 谷山・志村の予想(全ての楕円曲線はモジュラーである)
が証明されれば、背理法によりフェルマーの最終定理が証明されたことになる、つまり、谷山・志村の予想の証明だけすればよいのだ!と数学者が気づくところを追体験させてくれます。
難しい数学は未知の世界だ、と勝手に思っていましたが、一気に身近になるとともに、これなら自分でもできそう(とはいえできないんですが)と思わせてくれるとてもいい本でした。
いつか子供に読んでもらいたい。
さて、とてもぐっと来た表現だけご紹介します。
数学では、たった1文字で無限を捕まえる。
無限の宇宙を手に乗せることができる。
例示は理解の試金石。難しく考える前に具体例を考えてみる。
数学を見つけ出し、作り出してきたのはあくまで人間だ。欠けがあり、震えて揺れる心を抱えた人間だ。美しい構造に憧れ、 永遠に想いを寄せ、無限になんとか捕まえたいと思う人間が、 数学を現在まで育ててきた。
以上です!
出典:数学ガール