必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

みんなの意見は案外正しい(ジェームズ・スロウィッキー)

以前ご紹介した「When」で紹介されていた本です。結論はタイトルのとおりなのですが、中の事例は思ったより面白かったです。

全部は紹介しきれませんので、一部だけご紹介します!

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

タイトルの通り、数人の専門家の予測よりも、大勢の素人による予測の平均値の方がより真実に近い、という事例が多く上がっています。
専門家を追い立てる代わりに、集団に答えを求めるべきなのだ。
  • 牛の重さを見た目で判断すると言うコンテストが行われていた。800人の素人による予測の平均値をとると実際と一致した。一人ひとりの予測はそれぞれバラバラだったが、平均は実際の数字に極めて近かった。 
  • ジャック・トレイナー教授は、「ビンの中のジェリービーンズ」という実験を行った。ビーンズが850粒入った瓶を見せられたグループ全体の予測平均値は871粒だった。面白いのは、56人いる学生のうち、それよりも正確な推測をした人はたった1人であった。ここでのポイントは、学生同士は相談はしていないことである。
  • チャレンジャー号が爆発した時、関連する4社の株価は一気に下落した。しかし、たまたま偶然なのか、1社以外の株はすぐに元に戻した。その時は誰も原因はわからなかったが、半年後に調査結果が明らかになり、下落し続けた会社が原因であったことが判明した。特定の誰かが空売りしたなどの痕跡もなく、完全にみんなの意見が正しかった、ということがわかった。 
  • 6つの試験薬が認証試験中の状況で、FDAによりどの薬が認可されるかという予測についても専門家の意見よりも、一般人の平均を取った方が精度が高かった。
 
 
このようにみんなの意見が正しくなると言う状況が起こるためには4つの要件が満たされている必要があります
  1. 意見の多様性。それがかなり突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている。
  2. 独立性。他者の考えに左右されない。
  3. 分散性。各自が身近な情報に特化し、それを利用できる。
  4. 集約性。個々人の判断を集計して集団として1つの判断に集約するメカニズムが存在する。
 
ミシガン大学政治学者スコット・ページの研究では、優秀な意思決定者とそれほど優秀ではない意思決定者が混在している集団の方が、優秀な意思決定者のみからなる集団よりも必ず良い結果を出すということがわかっているそうです。
そのため、いつでもチームで議論をする、しかも多様性のあるチームで議論をする、ということが重要となります。
1960年代の研究ではグループで議論をして結論を出す時、少数派の視点が入ると、グループの判断に微妙なニュアンスが生まれ意思決定のプロセスがより厳密になることがわかった。少数派の視点が優れていないとしても、自分とは違う意見を突きつけられると、多数派も真剣に自分自身の考えを深めていく。
 
少数派がいない場合、集団の判断が一人ひとりの判断よりもひどい内容になることがあります。これは集団極性化と呼ばれる現象が原因です。
集団極性化の結果、リスク志向にも、安全志向にもシフトすることが明らかになった。リスクを好まないメンバーが集まった集団だと、議論の結果、集団はますます慎重な立場をとる。逆にリスクを冒すメンバーが多いとますますリスキーな立場を取る。
極性化が起きる理由は、人々が社会的比較を拠り所にしているというのが理由の一端だ。人は自分と周りの人をいつも比較している。自分はいつも人よりも安全志向にいるのに、集団全体が安全志向にシフトすると個人はさらに安全なほうにシフトする。その繰り返しで集団全体が安全サイドにシフトするようになる。
 
 
こちらにご紹介したもの以外でも、多くの事例が紹介されていました。著者の見識の広さに驚きました。一見、タイトルとあまり関係ないのでは?という事例も多かったですが、勉強になりました。