必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

Care to Dare セキュアベース・リーダーシップ(George Kohlrieser)

ヴァージンと言うブランド名で数え切れないほどの事業を立ち上げたリチャード・ブランソンは、「人に影響を与える立場にある人は、他者にとっての「セキュアベース」となり、人を思いやって目標に挑ませると成功する」と説きました。
 
本書で言っている「セキュアベース」とは、
守られていると言う感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、物事に挑み、冒険しリスクを取り、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる人物、場所、あるいは目標や目的
と定義されています。
 
変化が大きく、専門知識も深く必要になっている現代では、「俺について来い!」というタイプのリーダーシップが有効な場合は少ないのかな、と個人的には思っており、一方でこのタイプのサポート型リーダーシップが今後は有効なのだろうなと思っています。

セキュアベース・リーダーシップ ――〈思いやり〉と〈挑戦〉で限界を超えさせる

 
 
セキュアベースは安全と安心感を提供し、加えて、冒険やリスクを取ることや挑戦への意欲をもたらす
セキュアベースのイメージとして、両親と子供がスキー場に行った時の例がわかりやすいです。
父親は娘を難しいコースに連れて行き、見守りながらも娘と一緒に滑った。帰ってくると母親は怒って言った。「どうかしてるわ。この子にはこのゲレンデは危険すぎる。」父親はこう答えた。「そうだね。でもとても上手だった。」
娘はこの父親のセリフの方が記憶に残っており、父親が自分を信じていてくれたことを誇らしく思った、と覚えている。

セキュアベースは、居心地の良い領域の外に出ていくように背中を押してくれる人、そしていざというときには助けてくれる、と感じられる人である。
 
 
セキュアベースリーダーは絆を形成し、悲しみと向き合うことで喪失を受け止め、心の目をプラスの側面に定めて勝利を目指す。

悲しみから目を背けるのではなく、正面から直視して乗り越えることが重要と述べられています。あまりこの点は考えたことがなかったですが、言われてみればそうだなと人は結局は感情で動くので、過去に決別しないと前に進めないということですね。

悲しみは変革の一部であることを理解する。喪失により悲しみのプロセスが始まり、悲しみを受け入れる余裕がないとその次に進むことができない。
  • 会社が買収される時、会社のお別れパーティーを開き、過去の思い出を語り合ったりすることで悲しみのプロセスを乗り越えた
  • 身内に不幸があったときは、気が済むまで仕事から離れる許可を出す。その方がトータルでは効率が良くなる。
 
リーダーシップは自ら学んで身に付けた行動の組み合わせである。9つの特性のどれを伸ばしても、セキュアベースリーダーになることができる
9つの特性を伸ばすには日々の練習が必要となる。1つを選び少なくとも4週間続けてフォーカスしてみよう。そうすれば変化に気づき始めるはずだ。
  1. 冷静でいる
  2. 人として受け入れる
  3. 可能性を見通す
  4. 傾聴し、質問する
  5. 力強いメッセージを発信する
  6. プラス面にフォーカスする
  7. リスクを取るよう促す
  8. 内発的動機で動かす
  9. いつでも話せることを示す

 

 
1.冷静でいる
どんな時でもリーダーが冷静で、安定しているとわかって初めて、フォロワーはリーダーを信頼し絆を形成する。

フォロワーの感情が高まり恐怖を感じているときに、リーダーも同じように感情や恐怖心を高めたら、状況が悪くなるだけだ。
「ある製品に大きな問題が発生し、損害は何百万ドルにも及ぶ恐れがありました。皆パニックに陥り、悪者探しを始めました。しかしCEOは冷静でした。彼は会社の価値観に言及し、1つずつ問題の対策を進め、同時にステークホルダーへのコミュニケーションも行いました。彼が冷静だったから、私たちも冷静でいられたのです」
 
 
2.人として受け入れる
人を判断し批判する前に、その人の中にある良さを見ているかどうか。 
 
ペプシコの会長兼CEOのインドラ・ヌーイは人を受け入れることについてこう語った。

「父からは誰かが何かをしたり、入ったりした時、常にプラスの意味を考えることを学びました。マイナスの意味を考えると、怒りを感じます。その怒りを取り去ってプラスの意味を考えてみたら、反応は安定してEQも上がります。
この人は私を悪く言っている、と考えることもできます。あるいは、「ちょっと待てよ。本当は何を言おうとしてるの考えてみよう。あんな反応をしているのは、彼らが傷ついているからなのか、興奮しているからか、混乱しているからか、それとも私が頼んだことをわかっていないからなのか」と考えることもできます。

 
3.可能性を見通す
4.傾聴し、質問する
リーダーはあらゆる答えを持っていて、全てに関するエキスパートであるという責任を負う代わりに、質問のスキルを使ってフォロワーから答えを引き出す。
答えを引き出し、それによって可能性を引き出すことができるのは、質問と言う行為だけだ。

 

 
5.力強いメッセージを発信する
力強く短いメッセージをノートに書きためておく過去に聞いた言葉や日々の活動の中で読んだり聞いたりした言葉を書いておく。定期的にそのリストに目を通して他者に対して使いたいフレーズのレパートリーを増やそう。
 
6.プラス面にフォーカスする
教師が子供たちを優秀だと信じることで、教師の行動が変わり、子供たちの自分自身に対する見方も変わり、それにより子供たちの行動も変わる。

ある教師が子供たちのリストの横に書かれた番号をIQだと勘違いした。実際はそれはロッカー番号であったが、120から150までの数字が記載されていた。その教師はてっきり超優秀な生徒が集まったクラスと勘違いし、そのように生徒に接した。
結果、そのクラスは他の比べて極めて優秀なクラスになった。
 
 
7.リスクを取るよう促す
良いリーダーは、思いやりを示すことと、挑戦させることを両立し、勝利を目指す。あえてフォロワーにリスクを取らせ、それをささえることで高い成果を出す。
 
8.内発的動機で動かす
  • 「彼がいつも私に尋ねたのは、どんな成果が上がっているかと言う事だけではなく、何を学んでいるかと言うことでした」
  • 「それを行うのは正しいことだ。利益がすぐに出なくても心配しなくていい。それを行うのは正しいことなのだから」
  • 「自分の強みを生かせる仕事、自分が満足できる仕事を選んでもらいたい。自分の強みを追求していけばお金はやがてついてくる」
  • 「ミスを犯したし多少の損失もでたが、それは構わない。今日あなたは重要なことを学んだのであり、そのおかげで人間としてリーダーとしても成長できる」
 
 
9.いつでも話せることを示す
「いつでも話せること」とは目に見えないセキュアベースだと考えることもできる。実際にその場にいなくても、役割を果たせるのである。
 
テトラパックの元CEOニック・シュライバーは、CEOに就任した時、CEO直通のメールアドレスを開設し、そのアドレスに届いた従業員からのメールには24時間以内に返信すると約束した。
それはCEOと交流ができる場として考えられた。面白いことに、5年の間に届いたメールはわずか数通だけだった。しかしこのメールアドレスの開設は象徴的なものとなり、組織にとって強いメッセージになった。ある時これがほとんど利用されないので廃止が提案されたことがあったが、社員から大反対が起こった。従業員はそれをCEOにつながる万が一のための手段と考えていたからである。
そしてシュライバーは実際に来た数通のメールに対し本当に24時間以内に返信をした。返信を受け取った人がそれを社内に共有し、社内の伝説のようになっていった。
 
セキュアベースリーダーシップ、というとセキュアベースになれるのは人間だけかな、と思いましたが、それ以外も自分にとってのセキュアベースになりうるとのことです。確かに、過去のある場面が自信につながっている、ある場所に行くと安心して頑張れる、などがあるので、そういうものもセキュアベースと呼べるのですね。
セキュアベースは人だけでなく、国や公園、結婚やスポーツなどの出来事、経験や目標など様々なものがなりえる。
そして、最後は自分自身が...ここまで行くと超一流の成果を出し続けられそうです。
自分のセキュアベースを知り、拡大していくことによって、最終的には自分が自らのセキュアベースになれる
 
具体例も多く、とてもイメージしやすい本です。リーダーになる、リーダーシップを取りたい、という方、ぜひ。