必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

論点思考(内田和成)

「論点」という言葉の意味、わかるようでわからない、という方は多いのではないでしょうか?コンサルタント駆け出しの時期、私もそうでした。そんなとき、内田和成さんの論点思考を読み、「なるほど!そういうことか!」と思った記憶があります。
 
仮説思考とセットで、ぜひ繰り返し読んで身につけたい力です!

論点思考

 
 

抜粋と考察

一言で言えば、論点とは解くべき問題です。つまり、解こうとする時間を注ぎ込む相手になります。ここを間違えると仕事に無駄が発生してしまいます。「よしやるぞ!」と取り掛かる前に、「これは本当に解くべき問題か?」を考え直すことが重要となります。
 
論点とは「解くべき問題」のことだが、その解くべき問題を定義するプロセスを論点思考と呼ぶ。そして、問題解決のプロセスはいくつもの論点候補の中から本当の論点を設定し、その論点に対するいくつかの解決策を考え出し、そこから最も良い解決策を選び、実行していくという流れで進む。つまり、論点思考は問題解決プロセスの最上流にある。
 
最初に論点設定を間違えると、間違った問題に取り組むことになるので、その後の問題解決の作業をいくら正しくやったところで意味のある結果は生まれない。
 
論点設定を正しく行うことで、考えるべきことは限定され、考えなくても良いその他多くを捨てることができる。 

 

 
また、逆に言えば解くべきでない問題は論点ではありません。そもそもそれを問題と呼ぶべきではないのでしょうが。
ある論点は誰にでも当てはまるものではなく、その人、その組織に固有の問題です。どこにでもある一般的な問題は論点にはならないのです。また、現場スタッフの論点は社長の論点にはならないですし、その逆もしかりです。
リクルートでは、力をつけて業績を上げている若手社員がどんどん退社、独立していく。社員定着率という指標で見ると、リクルートは大きな問題を抱えた会社ということになる。だが、それが会社の強さでもある。

そこを間違えて、社員定着率を高めることばかりに注力したら、起業家精神旺盛な社員のモチベーションが低下してしまうかもしれない。

論点は一見してわかる単なる問題点(現象・観察事実)ではない。このことを最初に頭に刻み込んでおくことが大事だ。

論点は動くものである、なぜなら
①論点は人によって異なる
②環境とともに変化する
③論点は進化する
からである。

 

では、どうやってその論点を見つけるのでしょうか?いろいろな方法がありますので、事例を知りたい方は実際に読んでみてください。一般的に言えることは...
論点を見つけるには、「本当にそれが論点か」と常に疑問を持つ。「これが問題です」という人の話を聞いて、「なるほど」と思ってもそこで思考を止めてはいけない。「なぜ」を繰り返す。
 
ところで、例えば売上が下がった、に対する論点はたくさんあるはずです。どの論点からときに行くか、が重要な問題となります。その優先順位をつけるのは、仮説の立て方や経験が肝となります。
 
論点を絞り込む際、大きなポイントが2つある。一つは「当たりをつける」、もう一つは「筋の良し悪しを見極める」ことである。
 
また、解くべき問題は、経営者の関心の低い部分や、組織と組織の間の部分に落ちていることが多い。経営者が普段から関心を持っている分野は、企業の中でも比較的しっかりマネジメントされているのに対し、経営者があまり関心を持っていない分野に大問題が潜んでいたり、改善の宝の山が合ったりすることが多いからである。
取り掛かるべき論点を決めるときは、
「その論点は解けるか?」
「解いたときのインパクトは大きいか?」
「そのインパクトはどの期間で出せるのか?」
という観点で考える。解けない問題にチャレンジしても成果は上がらず、時間と手間がムダになるだけだ。解けないとわかったらその論点はすぐに捨て、論点設定をやり直す。
解けない問題にチャレンジするのは無意味である。学者が研究の場面で解けない問題にチャレンジするのは良いが、ビジネスにおいては最悪だ。仕事で成果を出すことが大事だ。
 
問題を解くときに、「いちばん重要な問題から解く」という方法と、「解ける問題から解く」という方法がある。この場合、後者のほうがうまくいく可能性がある。 
これは、普段から気にしていればすでにその論点は解かれているだろうという仮説に基づいていますし、経営者も日々仕事をしているので恐らく事実なのだと思います。
また、ビジネスでは常にROIを考えねばなりません。解けない問題に投資し続けても、コスパは悪いのでその投資は良くないということになります。
 
実際の論点の設定は、情報を得ることで行います。
 
論点を設定するとき、相手の話を聞くことがスタートとなる。
質問して相手の話を聞く。仮説をぶつけて反応を見る。現場を実際に見る。
 
相手の考え方、問題とされる事柄の状況などに基づいて、これが論点ではないか、という仮説を立てる。

 

では、具体的にはどのようにして上記の観点で考え、実際に解くべき論点を決めるのでしょうか?
 
論点が少しずつ浮かび上がってきた後、構造化して上位論点と下位論点に分類していく。構造化といっても、なにかツールを使うわけではなく、紙にその論点を書き出してみて、関係を表しながら構造の仮説を立てる。
そして論点を分解した際、あたりをつけて一つずつ検証して行く。その際にはイシューツリーがチェックリストとなるが、しらみつぶしにやるのは避けるべきである。
最初に仮説を立て、虫食い状態でいいから、整理はしておく。そして仮説がたった後に、相手に説明してみて反応を見ながらその構造を磨いていくという方法を取る人が多い。 
仮説をたてるということは自分が決め打ちした論点に当たりをつけるということだが、それを決めるときも、全体像をわかった上で当たりをつけるのと、他の要素に気づかずにそれと決めてしまうのでは、間違えてしまう危険度が大きく違ってくる。 
 

 
 
ここで、仮説思考と論点思考が組み合わさります。解くべき問題はいくらでもあるはずです。重要なのは、どの論点から解きに行くのか。そのためにインパクトやタイミングを探らなければならず、しらみつぶしに探っていたら日が暮れてしまいます。
そのため、間違っていてもよいので仮説を立て、一つ一つ検証していきます。
 
この仮設の立て方が経験によって磨かれていく部分となります。
 
 
そして最後に、個人的にとても重要だと思っている考え方をご紹介します。
 
私は、つねに実際の自分よりも、2つ上のポジションに付いているつもりで仕事をするようにと言っている。
 
(自分が上司から仕事で)与えられた論点は中論点、小論点であるかもしれない。それを大論点と考えてしまう(それだけが問題だと考えてしまう)と間違うこともある。上位論点をにらみ、全体構造の中で自分の問題を解いたほうがいいし、自信の成長につながる。
仕事と作業は違う。なにか目的が合ってその作業を行っているのであって、目的と手段を取り違えてしまうとまずい。 
 
論点は意思決定ができるようになるとわかるようになる。小さいレベルでも意思決定をしていくと、自分として「こうではなくて、こうだと思う」という判断力がついてくる。判断できるということは、裏側に論点があって判断している。

 

自分と同じ目線で考えていても、成長できないし良い考えは浮かばないと思います。戦略を考えるときは、二段階上、自分が課員だったら、課長の上の部長の目線で、部長だったら部門長の上の社長になったつもりで考える。
逆に、実行を考えるときは二段階下を考え、自分が課員だったら現場のアルバイトの立場で考える、社長だったら各部署の部長の立場で考える。
 
それにより、戦略を考えるときも、実行を考えるときも、より良い思考が回せると思います。上司の上司の懸念を先回りして考え、潰しておくことで、上司の仕事が減り、上司がよりやるべき仕事に集中できます。そのサイクルが回っている組織はとても強いのではないでしょうか。
 

 

論点思考

論点思考