必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

WHO YOU ARE - 君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる -(Ben Horowitz)

組織におけるカルチャー構築の教科書と言える本ではないでしょうか。以前、「ピクサー流想像する力」という本をご紹介しましたが、それに匹敵するくらい、カルチャー構築について詳しく、具体的に、深く書かれている本です。
 
大企業で動きにくいなあ、と思っている方、会社が成長していて組織規模が変化しつつある方、お子さんに色々言っても聞いてもらえない方、解決のヒントが詰まっている本だと言えます。
 

Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる

抜粋とポイント

▶明確な規律、明確なルール、そしてそれをリーダー自ら必ず実行する、ということを通じ、奴隷の意識を激変させた、ルーベルチュール
サン=ドマング(現在のハイチ)の奴隷に生まれながら、他の奴隷たちを指揮し、強烈な文化を作り、サン=ドマングを奴隷文化から解放したルーベルチュールは、文化を形成するために7つのテクニックを使った。
 1、うまくいっていることを続ける
 
何もないところに新しい文化を形成するのは不可能に近い。だがもともとある文化の中で良いところだけを生かし新しい文化に変えていくのは比較的やりやすい。
ルーベルチュールも、既にあった文化的な強みを活かすことにした。ブードゥー教の祭りで歌われる奴隷の歌だ。簡単だが記憶に残る歌声と言う武器を最先端のコミュニケーションツールに仕立て上げた。奴隷の兵士たちは敵を囲い、そしてブードゥー教の歌を歌い始める。ヨーロッパ人には歌詞がわからない。歌詞のある部分に達した時にそれを合図に一斉に攻撃を仕掛けた
 
 
 
2,ショッキングなルールを作る
 
ルーベルチュールは自分の軍に信頼を浸透させるため、あるルールを作った。そのルールはあまりにショッキングだったので、一体どうしてなんだ?と物議をかもした。彼は既婚の兵士に妾を持つことを禁じたのだ。強姦も略奪も兵士にとっては当たり前とされていた中で、婚姻の誓いを尊重しろと言うのは馬鹿げた命令に聞こえた。あまりの意外さに、兵士たちはその理由を知りたかった。
組織の誰もが「どうしてだ?」と聞く質問にどう答えるかで文化が決まる。というのもその答えはみんなの記憶に残るからだ。新人が入るたびにその説明が繰り返されることになるし、その説明は組織文化の中に織り込まれる。
ルーベルチュールは「この軍隊では、約束が何よりも重要である。妻との約束を守れないなら、私たちとの約束を守れるはずがない」と言い、強烈にこの思想が伝わった。
 
 
 
3,服装を整える
 
ルーベルチュールが奴隷軍に参加した時、ほとんどの兵士は服を身に付けていなかった。農園では裸で働いていたからだ。この寄せ集めの兵士たちに、エリート戦闘員としての意識を植え付けるため、ルーベルチュールは当時では最高に洗練された軍服を軍に着せた。自分たちが何者であり、何を成し遂げたいのかを常に心に刻んでおくためだ。
 
 
 
4,外部からリーダーシップを取り入れる
 
リーダーは望ましい文化を作り上げた他の指導者たちを取り入れることで、自らの文化を変えることができる。カエサルやチンギスハンはそうやって帝国を築きあげた。征服した地域の指導者を処刑するのではなく、彼らをその場所にとどめ、地域文化への深い理解を利用してその地域を統治した。
 
 
 
 5,何が最優先かを行動で示す
 
リーダーの意思決定が一般的な直感に反していればいるほど、文化への影響は大きくなる。
奴隷たちが農園主に勝利した時、ルーベルチュールが農園主を生かしておいたばかりか、引き続き土地の所有も許した。これは、復讐はすべきではないと言うルーベルチュールの考えに加え、実利的に戦費の調達をしなければならないと言う理由もあった。そして農園の効率的な運営は農園主が行った方が良いということもわかっていた。
この決断によって、ルーベルチュールはどんなに言葉を尽くしても成し遂げられないことを成し遂げた。革命は復讐のためではないと言うこと、そして配置の経済的な繁栄が最も優先されると言うことを伝えたのだ。「報復すべからず」口で言うのは簡単かもしれないが、そうした文化を築いたのはルーベルチュールの行動だった。
 
 
 
6,言行を一致させる
 
リーダーが率先して動かない限り、文化は花開かない。そしてどれほど上手に文化が設計され、慎重に構築され、しつこく強制されたとしても、トップにある人が矛盾する行動をしたりすれば、全てが水の泡になる。ルーベルチュールもこのことを十分に理解していた。兵士に多くのことを求めたが、彼自身も決めたことを必ず守った。
 
 
 
7,倫理観をはっきりと打ち出す
 
誠実さとは社内外の境目のない概念なので、組織に浸透させることが難しい。社員に対しては誠実に対応していても、顧客に嘘をついていれば社員はそのギャップに気づき、お互いに嘘をつき始める。だからどんな人に対しても同じ行動を取らなければならない。どの場面でもリーダーは期待にそう振る舞いが求められる。ルーベルチュールは兵士たちにズバリと命令していた。
「私をがっかりさせないで欲しい。欲望に負けて、せっかくの勝利を棒に振るな。敵を追い出した暁には、一番大切なものについて考える時間が持てる。この地上で最も大切な財産、それは自由である。その自由が滅びることのないように、われわれは戦っているのだ。」

 

 
▶文化を構築できれば、リーダー亡き後もそれが継承され強いチームが作られる
ルーベルチュールはサン=ドマングを統一後、その植民地化を狙って攻め込んでくるスペインやイギリスなど外国の軍を次々と打ち破った。しかし腹心の裏切りによりナポレオンの軍に引き渡されてしまう。最後はナポレオンにより処刑されてしまったが、その後サン=ドマングを攻め込んだナポレオンはワーテルローの戦いよりも多くの兵を失った。この敗北のせいでナポレオンはルイジアナなどの北米14州を売却せざるをえなくなった。
ナポレオンは「ルーベルチュールにサン=ドマングを統治させるべきだった」と告白していた。
 
 
▶Mottoを使い、社内外にカルチャーを表現したフェイスブック
フェイスブックの初期、スピードが何よりも優先だった。他社よりも先にシェアを取らないと、プラットフォームの取り合いに勝てない。そのために「素早く動き、破壊せよ」(Move Fast and Break Things)をMottoとした。それにより、エンジニアは既存コードにダメージがあるかもしれない新しい機能を造ったとき、迷わずリリースした。
 
しかし、フェイスブックが大きくなり、他社と連携することが増えたとき、頻繁に壊れるコードは信頼性がなくなっていく。そこで、2014年、Mottoを変え、「インフラを安定させたまま、素早く動け」(Move Fast With Stable Infra.)に変更した。
 
 
▶経営会議の出席者を意図的に調整することで、一気にカルチャーを変えたネットフリックス
ネットフリックスが宅配DVDで成功しているとき、ヘイスティングスはインターネットを使った動画配信を立ち上げていた。しかし、経営会議ではどうしても売上の全てを占める宅配の話になってしまう。そこで、最も重要な経営会議から、宅配関係者を締め出す、という大きな決断をした。そこまでしないと、「動画配信をメインにしないと競争に勝てない」という意識を浸透させることはできなかっただろう。口で言うだけではなく、行動に移さないと行けない。
 
 
▶武士道に学び、会社の最期の姿を思い浮かべ、そこから文化を構築する。
企業文化が脅かされるのは、危機が訪れたときだ。そんなときでも「すでに死んでいたら、殺されることはない」。「葉隠」は、どのように最悪の結果を想像し、受け入れたらいいかを生々しく描いている。
「一日の始めに、死についてじっくりと考えなさい。毎朝、静かな心で、自分の最後の瞬間を頭に思い浮かべなさい。弓矢で射抜かれ、銃で打たれ、剣で刺され、大波にさらわれ、地獄の炎に焼かれ、雷に撃たれ、断崖絶壁から墜落し、または何の前触れもなく突然に死ぬ姿を。毎朝必ず、死の瞑想に浸りなさい」 

 

自分の会社が破産する姿を思い浮かべれば、目指すべき文化を構築しやすくなる。破産したらどうなるかを想像してほしい。働きやすい職場だっただろうか?取引先にとって、仕事はやりやすかっただろうか?相手にとって、あなたとの出会いは得になったか、損になったか?プロダクトの品質に、あたたは誇りを持っていただろうか?
 
 
▶金を浪費しがちな文化を変えたければ、インパクトのある具体的な規則を作る
「ホテルの部屋から車が見えなければ、予算オーバー」
これを見たことで、飛行機のビジネスクラスや豪華レストランなどは論外だ、ということを、社員はすぐに理解した。いくら以上、と規則を作るより、伝えたいことが伝わった。
 
 
▶チンギス・ハンは実力主義、忠誠心、多様性、という3つの原則を土台にして、他に類を見ない安定した文化を築き上げた。
信教の自由であれ、共通文字の考案であれ、中継所の維持管理であれ、ゲーム遊び、暦や紙幣や天文図の印刷であれ、モンゴル帝国の統治者たちは普遍主義を貫いた。自分たち同時のシステムにこだわらなかった彼らは、どこからでも積極的にシステムを取り入れて組み合わせた。地域に根づいた文化的思考はなかったため、モンゴル人は思想信条よりも実用性を優先させた。一番うまくいくやり方を探し、それが見つかると領土全域に広めたのだった。
チンギスは戦争のしきたりを劇的に変えた。征服した貴族階級のリーダーたちを厚遇して下っ端の兵士を奴隷にするという慣例を変え、(後に謀反することの無いように)貴族を処刑して、兵士たちを自分の軍に組み入れた。そうすることで、兵卒の数を増やすと同時に、公平なリーダーとしての自身の立場を確立した。チンギスは敵兵をとりわけ厚遇したため、元のリーダーよりもチンギスにより忠誠心を持つようになった。
 
モンゴルではほとんどの遊牧民族は血縁からなる王族によって統治されていた。しかしチンギスは、血縁ではなく個人の能力と忠誠心に応じて、さまざまな部下に重要な責任を与えていた。貴族の称号を廃止し、階級制度も廃止し、すべての男性を平等にした。周囲の推薦無く家族を後任の部族長にした場合、死罪とした。法律という概念を初めて取り入れ、権力の乱用を禁じた。
 
忠誠心については、部下に求めると同時に自らも部下に忠誠を尽くした。部下を罰したことは一度もなかったし、敵の手下が主人を裏切ってそのクビを差し出してきたときも、裏切り自体を許さずその手下を死罪にした。
 
 
 
 
▶どんな文化にしたいか、と、誰を雇いたいか、は同じこと。
以前、slackの企業理念に遊び心とか団結心といったことも入っていたが、行動を促すものではなかった。CEOのバターフィールドは社員の意思決定を助けるような何かを入れたいと思っていた。それが、ある人が採用基準にしていたもの、「賢くて謙虚で勤勉で協力的な人」を探す、というのとぴったりだった。どれか2つだけでいけない。全てがそろっていないといけない。
* 賢さ:知能が高いということではなく、学ぶ姿勢がある、ということ。
* 謙虚さ:謙虚な人は自ら学ぶ。傲慢ではないということ。
* 勤勉さ:長時間働くことではない。仕事の間は効率よく、プロらしく集中してはたらくということ。
* 協力的:自らリーダーシップを取って、目の前の仕事をすすめるために協力するということ。従順であるということではない。
 
文化にあった社員を求めるために、amazon では「バーレイザー」という役割の人がいる。該当の職種の採用に関わりなく、フラットに候補者がamazonの企業文化に合っているか、を判断できる人だ。
 
 
▶蔓延する文化を変えるためには、見せしめが必要だ。
同僚や顧客に嘘をついてでも目標を達成する、という人が存在を許されていれば、それは会社に「嘘をついても良い」という文化があるということを意味する。そういう場合はどんなにその人が優秀でもクビにすべきだ。(というより、上の立場の人のほうが良い)それにより、何が合ってもウソを付くことは許されない、ということを明確に示せる。
もし、ありえないことをしている社員がいたら、企業文化がそれを許しているのだと思い出してほしい。
 
 
▶問題を隠す文化がある場合、「経営会議で一つ白状しなくてはならない」などの行動ルールを決めることで、徐々に変えていく
経営会議には参加したがるが、いいことしか言いたがらない、という文化が広がっているとき「参加者は炎上している案件を一つ以上報告すること」というルールを作ることで、積極的に悪い知らせを報告する文化に変わっていった。
「炎上している問題を把握できていないようなメンバーは経営会議に出る資格はないな」
 
 
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具体事例など、全然載せきれていないので詳細知りたい方は実際に読んでみてください。
 
なお、上記で紹介していた過去記事はこちらです。よろしければ読んで見てください。