必読!おすすめビジネス書のご紹介

ビジネス書、何を読むべきか悩みますよね。ランキング上位を買ってみても、案外学びにならなかったり。そんな思いから、おすすめの本の概要を書くことにしました。外資系戦略コンサルなどで勤務した私が、おすすめの本をご紹介します!参考になれば幸いです!

メディチ・インパクト(フランス・ヨハンソン)

イノベーションはどうやって生み出すのか。事例とともに明快かつ深く書かれた名著です。「失敗は予想するのではなく予定するもの。2〜3回失敗してもいいようにリソースを確保しておくのである」というのは、なるほど!と思いました。

 

新規事業や企業を考えている方、ぜひ!

メディチ・インパクト (Harvard business school press)

まとめと抜粋

ある実験がクリエイティブなのは、それが新しく、価値の有るものだったからであり、イノベーティブなのはそのアイデアが実現したからである。
逆に言えば、どちらも満たさないアイデアはただの思いつきに過ぎない。そして、どんなにアイデアが優れていても、実行できなければ意味がない。
 
イデアには、方向的なものと交差点的なものがあり、その違いはきわめて重要である。
ある一つの分野の中にいるときは、その分野のなかに含まれる様々な概念を結びつけ、ある特定の方向に沿ってアイデアを生み出していくことができる。これを方向的アイデアと呼ぶ。一方、さまざまな分野が交差する場にいるときは、複数の分野に属する概念を結びつけ、新しい方向へと飛躍するアイデアを生み出すことができる。これを交差点アイデアと呼ぶ。この2種類のアイデアの違いはきわめて重要である。
その異なる分野同士が出会うのは、ルネッサンス時代に花開いた。しかしその後は何世紀にも渡って知の専門化、分断化が進んだ。そしていま、また各分野の境界が消えつつあり、交差点イノベーションが起きやすくなっている。その理由は下記のような変化である。
  • 人の移動(アメリカがいい例)、
  • 技術の異なる領域への染み出し(蜘蛛の研究が繊維の研究に入っていったり)、
  • コンピュータ技術の飛躍的向上(アニメを書くのは手書きからコンピュータに移ってきたし、遠方のコミュニケーションをかつて無く自由にした)
 
 
交差点イノベーションは新たな分野を作り、世界に影響を及ぼす。それは、ある分野の専門性を持ちながら他の分野に取り組むことで起こしやすくなる。
交差点イノベーションには下記の特徴があるといえる。
  • 驚きや意外性に満ちている
  • これまでにない新しい方向に飛躍する
  • まったく新しい分野を拓く
  • 個人、チーム、あるいは企業にとって自分の自由にできる空間が生まれる
  • 追随者を生む、すなわちイノベーションを行った人はリーダーになることができる
  • その後何年、何十年に渡って方向的イノベーションが生まれる源泉を提供する
  • かつて無かった形で世界に影響を及ぼす
 
例えばコンサルタントが、その道何十年とやっている顧客よりも良いアイデアを思いつきやすいのも、その領域外の知識や経験を持ち、それらを組み合わせて思考をしているからといえる。ただし、成功するコンサルタントは一つの分野の専門性を持っていることが多い。ある分野に専門的な深い知識を持つことは、交差的イノベーションを起こすのに大きな助けになる。
 
 
クリエイティブなアイデアはなんらかの偶然の組み合わせによって生まれるが、それには大きく分けて「ひらめき」と「偶然の発見」の2つの種類があることがわかっている。
1つ目は「空を走る閃光のような発見」と私が呼ぶもので、なにかの問題を解こうとしているときに見られる。多くの場合、まず最初に集中的にその問題について考える時期が長く続き、次にあまりそのことについて考えない時期が続いたあとに突然、解法が見つからる。この後半の時期、その問題は頭の中に常に合って、一日のなかでたまたま頭を去来するそのほかの概念や印象と、そのつど関わり合う。そうこうするうち、そうした他の概念が懸案の問題にピタッとはまったとき、新しいアイデアや解決法が生まれるのだ。
 
2つ目は、「心の準備のあるところに訪れる発見」と私が呼ぶもので、これは心の準備をしていなければその意味がわからずに、容易に見逃してしまうような発見を指す。ある分野で熱心に何かに取り組んでいる人が、偶然のきっかけでそれとは直接関係のない事柄についての発見をする場合がこれにあたる。
ルイ・パスツールによるコレラ菌の偶然の発見が有名だが、これも心の準備ができていたから偶然のことから発見できたものである。
 
 
交差点アイデアを生み出したいと思ったら、自分とは異質の人間と一緒に働けるような環境を探し求めるべき。
ロバート・サットン教授は自分を居心地悪くさせる人間、違和感を覚える人間、さらには好きになれない人間を採用せよという。あなたと同じように考えるメンバーとチームを組んだ場合、気持ちよく仕事ができるだろう。しかし、イノベーションを起こせるかというと、おそらく答えはノー、だ。広く、深い知識を得るためのひとつの方法は、自分とは異なる知識基盤をもつ人とチームを組むことである。
 
 
交差点アイデアのチャンスを増やすためには意図的に偶発的な概念を組み合わせることがよい
ある問題に取り組んだりアイデアを考えているとき、思考の散歩をすると良い。思考の散歩をするときには、好きな場所をぶらぶら歩き、目についたものを手に取り、借りるか、メモするかする。このとき、意識的にその問題やアイデアに関連すると思うものを選んではいけない。それでは偶発的な概念の組み合わせにはならない。見たところ何の関連もなさそうなものを選ぶことが肝心である。それらに関連を見つけて結びつけるのがあなたの仕事なのだ。
 
 
 
イデアでも何でも、とにかく数を出すことが重要である。
ディーン・サイモントンはこう説明する。イノベーターは成功したから多くを生み出すのではなく、多くを生み出すから成功したのだ、と。量が質を生む。彼は量と質の相関関係を実証した。例えば科学者の最も優れた3本の論文の引用回数は、その科学者が発表した論文の数に比例する。最も画期的な論文を書く科学者は、最も多くの論文を書く科学者なのだ。
 
イデアをたくさん出す際には、ひとつのアイデアに評価を下す前に沢山のアイデアを生み出す必要がある。そのためには、事前に目標とする数を決めた上でアイデアを出していくと良い。
 
また、浮かんだアイデアに早まった結論をくださない(=だめだと思って捨てない)ためには、アイデアが浮かぶたびにそれを書き留めておくことだ。そうすることで今まで思いついたアイデアについて頻繁に考えることが可能になる。
 
チームで量・質で優れたアイデアを出すためには、個人ワークとグループワークを組み合わせる。
チームでブレーンストーミングをする際には、いきなりチームで始めると時間のムダが起きてしまう。同時に全員が喋れるわけではないからだ。
そのため、IDEOが提唱するように、①各メンバーが個人ごとにアイデアを出す、②それを共有しながら、他の人のアイデアに乗っかって新しいアイデアを出す、という順番にすることで、数も質も向上する。
 
 
イノベーションを起こす組織にするためには、「無行動」を罰し、失敗は奨励するべき。
失敗に終わるアイデアを試みる中から、失敗しないアイデアを発見することが重要となる。もし、成功には報酬を与え、失敗はそのまま放っておくだけで十分だろうか?そうかもしれないが、成果を最大限に上げるには、成功も失敗も等しく報いを受け、「無行動」が罰の対象になる環境が必要なのだ。
絶対に見返りを与えてはいけないのは、何もしないこと。つまり、クリエイティブなアイデアを全く実行しないことである。したがって、特許の数や完了したプロジェクト(成功した、ではなく!)の数など、アイデアをどれだけ実行したか、に対して報奨を与えるべきなのである。p
 
 
失敗は絶対に起こる。失敗を予想するだけでなく、予定することが必要である。
交差点アイデアの特徴のひとつは、開発のプロセスでなされる想定の多くが間違っているということだ。だから失敗を予想するだけではなく、予定しておくことが必要なのである。交差点で成功した人はだれもが、「最初のアイデアは何度も修正しなければならなかった」という。
新規事業を始めるとき、スタート地点で正しい戦略は何かを予想するよりも、正解を見つけるまで二度、三度と挑戦を繰り返すために十分なリソース・資金を確保することのほうがはるかに重要だ。こうした思考錯誤を十分行わないうちにリソースや信用を失うものは失敗する。
 
交差点を見つけるためには、とにかく質問する
シリアルアントレプレナーのハワード・バークは交差点を見つけるのが得意である。ある時から、様々な研究分野の天才の周りをうろうろするのが彼の日課になった。そしてそれらのアイデアの交差点を探すのが得意だった。
「とにかく、質問し続けることですよ。これはどうか、あれはどうかってね。そうしているうちに、何かものになりそうなものが見つかるんです。その領域はまだ需要がないかもしれない。しかし、少なくともイノベーションを起こすチャンスはあるのです。」
 
 
 
お読みいただき、ありがとうございました!